享楽3-3
岩井の分厚い手に両手を添え、差し出された人差し指を口に含んだ。何度も強要されたのだろう、やり慣れたような感じだった。まるでフェラチオのように。
「ベロやマラをこうしてしゃぶられたら、田倉さんもいちころだのう」
岩井は指を増やした。指一本が義雄のペニスくらいだ。二本の指をそろえると常人男性のペニスほどの太さはあるだろう。口に含んでいる奈津子には分かっているかもしれないと思うと、羞恥と哀しみがキリのように胸を抉る。
「もっと唾が欲しい」
口中をまさぐり唾液をすくい、ペニスにまぶす。その指先を舐めてから奈津子の口の中に戻す。岩井は同じことを繰り返した。
口の蹂躙を終えた岩井は奈津子を抱きあげ、ベッドの中央にずれていった。胡座を組んだひざに背後から抱く。ベッドに転がっているシャンプーのボトルのようなものを取って脇に置いた。岩井の腕の中で奈津子は怯えている。
両方のひざの裏に片腕を入れた。そのまま腕力だけで持ち上げると、脚をそろえた奈津子の体が小さく丸まる。白い尻に向かって垂直に屹立している黒いペニスが全貌を表す。太く浮き出た血管がまるで蛇のようだ。
「柔道の試合で乱闘騒ぎをおこしたと話したな。そのあとワシは協会から永久追放された」
片手でボトルのポンプを押して、その手にどろりとした液体をたらす。あふれるくらいたらし、ペニスの亀頭から根本まで塗りつけていく。
「柔道界から総スカンを食らったのだ。仲間からも白い目で見られた」
片腕だけで奈津子を宙に抱きあげたまま、ポンプを押して手にすくい、ペニスにすり込んでいく。それを繰り返す。
「貴様のような乱暴者は柔道をやる資格がないと、罵声を浴びせられた」
ボトルを放り投げ、濡れた手のひらで尻に触れた。ビクンと体を震わせる。指先をカギ状に曲げて無造作に体の中に差し込んだ。奈津子の喉が「ヒッ」と鳴る。
「だがのう、世の仕組みとは、なかなかおもしろい」
尻の真下で手首をひねると二本の指が消えた。
「ワシを追放した協会の最上位に位置する文科省の役人を、今このワシがあごで使っているのだ」
付け根まで差し込んだ指をドリルのように回転させた後、ゆるりと抜く。
「因果だのう、奈津子」
指を三本に増やした。奈津子は苦痛の表情を浮かべるが、声もあげず身を震わせるだけだった。
「それにしてもあの田倉さんが浣腸とはのう。真似てはみたが、どうも性に合わん」
抜き去った指先の匂いを嗅ぎ、口角をあげた。矛先を尻のあわい――真下――に宛がった。
「ま、まだ無理ですッ」
身を揺すってうろたえる。
「田倉さんがお前に行なった行為を素直に全てワシに話せば、あれほど殴ることはなかった。本当はお前の肌は傷つけたくないのだ」
「先生ッ……オオォッ」
吐くように呻吟し、首が仰け反り返った。
「田倉さんはどうしてもこの穴を開発しておきたかったのだ」
亀頭をぬめり込ませたまま、ひざの裏にそれぞれ手を入れて股を開いた。奈津子は宙をつかみ、岩井に爪を立て、再び宙をつかんだ。
「薄ゴムの中にはき出すのは虚しかったのだろう。男は惚れた女の体の中で果てたいもの」
奈津子の股間から液体が飛沫した。岩井が動くたび、小水のような透明な液体がピュッと飛び出る。
「とすれば、ここを使うしかない。そんな趣味はなかったのだろうが、鎖の役目になると思ったのだろう。処女を奪ったつもりになっていたのかもしれん。やがて病み付きになった」
鏡に向き直る。
「あの田倉さんがお前の股ぐらを広げて目の前でひり出させたとは思わなかった。浣腸の味をも教え込もうとしたのだのう」
――そんな行為まで……。義雄は愕然とした。
胡座を組んだ腰の上に宙を浮かせた形で奈津子をのせている。その両足を抱え、M型に広げたまま、夫の目の前で全貌を暴いて見せた。