第17話-1
〜第17話〜
「はぁあ・・・どうしちゃったんだろ・・・私」
買い物袋をテーブルに置くなりため息をつきソファーに座った。
思い返せばあの再会が全ての始まりだった。
否、あの後会いに行かなければ・・・
違う・・・体さえ許さなければ・・・
何故踏みとどまれなかったのか。
愛する浩二を裏切り今では斉藤の言いなりになっている。
さらに見知らぬ男の肉棒を咥え理性を失い快感に溺れてしまった。
今となっては斉藤との関係を断ち切る事すらできない。
浩二では味わえない激しい快感に我を忘れ貪欲なまでに快楽を求める体になってしまっていた。
「ごめんなさい・・・浩二・・・私・・・」
浩二と別れるという選択肢もあるが、それさえできない。
斉藤に言われたから別れないのではない。
何より美香自身が今のこの生活も捨てたくないのだ。
ワガママだと言われればそれまでだが、もし浩二にバレたら・・・もし斉藤に捨てられたら・・・
そう想像しただけで胸がはち切れそうなほど、美香にとって二人は必要な存在だった。
リビングにポツンと一人。
色んな感情がこみ上げ自然と涙が頬を伝っていた。
「もう・・・本当にどうしちゃったんだろ・・・さぁ晩御飯作ろ・・・」
手の甲でサッと涙を拭い、台所に向かい下ごしらえを始めた。
僅かな罪滅ぼしなのか、今日は浩二の好きな唐揚げにした。
いつもの時間に帰宅した浩二を出迎える。
入浴を済ませリビングに来る頃にはパチパチと油の跳ねる音と、
すでに揚がり盛りつけられた唐揚げの香りが充満し食欲をそそる。
「おっ。今日は唐揚げかぁ。美香の唐揚げは絶品だからな・・」
キャベツの千切りが添えられた大皿に次々と揚げたての唐揚げが
盛り付けられていく。
風呂あがりの浩二は椅子に座り、今か今かと待ちわびていた。
「お待たせ・・・」
浩二の前には揚げたての唐揚げとご飯、さらに吸い物と冷えたビールが注がれた。
「今日もお疲れ様」
お互いのグラスを合わせ乾杯をし喉を潤すと空腹を満たすべく好物の唐揚げを口に運んでいく。
「美香の唐揚げは本当に美味しいよ・・・」
そう言って美味しそうに食べる浩二を見ているだけで自然と笑顔になる。
(男の人って唐揚げが好きなんだなぁ・・・)
ふと、先日斉藤にも唐揚げを作ったのを思い出した。
落ち着いて食べる浩二。それとは対照的に豪快な食べっぷりをみせた斉藤。
こんな些細な事さえ二人を比較するようになっていた。
「はぁ・・・美味しかった。ごちそうさま」
全てを平らげ浩二を両手を合わせるとそう言った。
「お腹いっぱいになった?」
「あぁ、もうお腹パンパンだよ」
楽しそうに微笑み合う二人。
新婚当時と変わらぬやり取り。
そう浩二は感じていた。
だが、美香は変わってしまった。
昔の男に抱かれ、浩二では満たされていなかった事を思い知らされ
自ら求めるようになった。
さらに今日、斉藤よりも年上の槇村も加わり簡単に指だけで絶頂し潮まで
吹いてしまい、斉藤だからこそ成し得た事。
という認識がもしかしたら、浩二だけ成し得ない事ではないかとさえ思ってしまった。
それ程までに女を悦ばせる術を持ち合わせた二人と同時に交わってしまった出来事は
美香にとってあまりにも衝撃的だった。
「そろそろ、寝ようか・・・」
「うん・・・」
食後のコーヒーを飲みながら、テレビを見たり会話を楽しむ。
夫婦としての幸せなひとときを過ごしていると欠伸混じりに浩二がそう言うと、
同意したように美香もそれに答える。
先に浩二がベッドに入り、少し遅れて美香が横になる。
明かりを消し、何もない時は「おやすみ」の後すぐに寝息が聞こえてくる。
美香はその優しさが滲み出た寝顔を見ながら「おやすみなさい」と返事をし、
ゆっくり目を閉じる。
「美香・・・」
浩二の呼びかけに応えるようにそっと唇を重ねていく。
「んっ・・・」
抵抗する事なく舌を受け入れ絡めると、浩二の手がスカイブルーのパジャマの中に
忍び込みブラを着けていない胸に触れ、包むように揉み始める。
「んんんぅっ・・・」
斉藤に開発された身体は過敏に反応し胸を軽く揉まれただけで甘い吐息を漏らし、
乳首を尖らせる。
それを悟ってか否か浩二の指が尖った乳首を指の腹で撫で回す。
「んぁぁん・・・っ」
舌を絡めあったまま喘ぎ混じりの吐息が漏れる。
その熱い吐息を口の中で受け止めるとさらに興奮が増したように手を
一気に下半身へと滑らしていき、パンティの上ではなくいきなり中へと
侵入させた。
中指が既に愛液で濡れた秘部に触れると、すぐには中に入れず、
指を下から上へなぞるように移動させ的確に秘豆を捉え撫で始めた。
「んんんんっ・・・」
快感を伝える喘ぎ声は一向に唇を離そうとしない浩二の中でかき消されていく。
(今日の浩二・・・いつもと違う・・・どうしたの?)
永いキスと激しい愛撫に違和感と少しの戸惑いがあったが浩二の指から与えられる快感に徐々に嬉しさが込み上げてくる。
それは美香の身体にも顕著に表れていた。
たっぷりの刺激を受けた秘豆は充血し、秘部からは止めどなく愛液が溢れ出ていた。
浩二はまたもタイミングを見計らったように中指を下ろしていき、さらに人差し指を加え
今か今かと待ちわびた秘肉を掻き分けクチュッという音を立て秘部へと指を沈めていく。
と、同時に絡み合っていた舌が次第に離れていく。
休む間もなく舌を首筋に這わせさらに下へと進み次なる獲物を捉えた。
寂しそうにツンと上を向き尖った乳首を唇で包み舌を回すように転がし始めた。