欲望の坩堝-3
シャワールームに入った友里は、一番奥の個室に入る。
お湯を出して、全身でシャワーを浴びる。
「はー、生き返るー。」
自分でもババくさいこと言ってるなと思いつつも、思わず口から出る。
冷えた体に、暖かいお湯を当て続ける。
それだけで、体の疲れが取れるようだ。
どれほどそうしていたか分からないが、そろそろ頭を洗おうとしたときだった。
バタン!とシャワールームの扉の開く音が聞こえた。
(え?あれ、音がしたけど…。)
不思議に思い、外を見ようとそっと個室の扉を開けた。
すると、その隙間に、ごつごつした男の太い指が差し込まれる。
「ひっ!」
驚きのあまり、扉から跳ねるようにして距離を置いた。
太い指によって個室の扉が開けられると、そこに立っていたのは、倉庫内でよく見かける男の人だった。
「な、何してるんですか⁉︎出て行ってください!」
その場にしゃがみ込み、見られたくない場所を隠す。
「うるせー!俺たちが寝る間も惜しんで作業してるってのに、てめーは優雅にシャワーか?いいご身分だなぁ、おい!」
そう言われると友里に返す言葉もない。が、それとこれとは別問題だ。
「文句なら後で聞きますから、まずは出てってください!」
「いいから、こっちこい!」
男は友里の髪の毛を乱暴に掴むと、個室から引きずりだす。
個室の外に出た友里は、驚愕のあまり体をこわばらせた。
そこには、10人ほどの人がいた。
「おー!」「すげー、エロい!」「胸でけー!」
下品な声を聞き、我に返った友里は、慌てて胸と股間を隠す。
「隠してんじゃねーよ!」「手どけろ!」
近くにいた二人の男が、友里の両手首を掴み、左右に広げる。
「いや、離して!」
掴まれた手を解放しようと全力で抵抗するが、男二人の力に敵うはずもなく、友里は男達に裸体をさらけ出すこととなる。
「こんなとこで止まってんじゃねーよ、こっちだ!」
二人の男には引っ張られ、後ろの男からは押されてシャワールームを出る。更に男達は、更衣室から出ようとする。
「ま、待って!服!服を着させてください!」
「服って、これ?」
小太りした男が、友里の下着を手にしていた。
にまにまと笑いながら、男はクロッチの匂いを嗅ぐ。
友里はぞぞっと、鳥肌がたった。
「やめて!気持ち悪いことしないで!」
友里は睨みつけるが、男は気にせず匂いを嗅ぎ続ける。
周りにいた幾人かの男達も、ブラや他の服の匂いを嗅ぎ始める。
「やめなさいよ!気持ち悪い!」
「お前には俺たちのすることに、ごちゃごちゃ言う資格はねぇんだよ!おら、こっちだ!」
引きずられるようにして更衣室から食堂へ、全裸のまま放り出される。床に這いつくばった状態から、友里が顔を上げると、思わず悲鳴を上げた。
食堂には数え切れないほどの男達がいた。
おそらく徹夜で業務を続けている従業員が全員いるのではないだろうか。
「うお、まじか。」「本当にヤれるのか…?」「陰毛薄いな。」「ちゃんと手入れしてんだろ。」
驚きのあまり友里は動けなくなった。
更衣室から出てきた、男が声をあげる。
「さぁ、損害賠償を支払ってもらおうぜ。この体でよー!」
(な、何言ってるの、この人。損害賠償?この体?)
ぐるぐると色々考えていると、目の血走った男達が近づいてきていた。
「い、いや、やめ、こない、で…。」
体を隠すことも忘れた友里は、座ったまま後ずさりを始める。両手を体の後ろにつき、両膝を立てた状態で後ろに下がるため、正面の男達から友里の秘部が丸見えだ。
男達は更に興奮し、鼻息を荒くして、徐々に友里へと近づく。
後ずさりをしていた友里の背中が、更衣室の扉にぶつかる。
「こ、こないでよ。い、いや…。」
追い詰められた友里を見て、嗜虐心に火のついた男達は、一気に距離を詰めると、各々の手を友里へと伸ばす。
「い、いやーーーー!!!」
恐怖にかられた友里の絶叫は、倉庫内に響き渡った。