ろ-5
おたがいの行為が本気だと、何よりも示しているのに
言葉でそれを補うように
好きだと連呼しあった。
「すきぃ」
その声が耳から心臓を貫いて、身体中に響き渡る。
篠塚さんの首に両腕をからませて
引きよせて私からキスをする。
引きよせたと思っていたその態勢は、実は引き寄せられていて
私たちは座位でお互いに絡み合った。
さっきよりより深く私の中に身を沈めた篠塚さんは
大きく深呼吸をした後に私を動かした。
背中を丸めて、私の胸に吸いつく顔が可愛くて。
頭ごとすっぽり抱きしめた。
「んぁ・・・ぁ」
より深く、より深く私を自分のものにしようとするその行為に酔いしれる。
「すきぃ」
何度言っても相手に届かないような気がして
夢中で叫んだ。
その都度、奥に篠塚さんが求めてきた。
「ゆめっ」
一言切なそうに叫んだその声が、
合図のように私たち自身を同時に結びつけた。
「あ・・・ぁ・・・・・ぁぁあぁ」
ドクンドクンと私自身が篠塚さんを締めつけた。
その感覚に篠塚さんも自分を私の中で解き放つ。
ゆっくり。ゆっくり。
私たちは息を整えてお互いを抱きしめ合った。