菜緒子-1
店を出ると煙草を口に咥え、慣れた手つきでライターで火を点けると灰の奥深くまで紫煙を吸い込み大きく吐き出す。
今では真理子は本人に自覚はないがすっかりヘビースモーカーになってしまった。吐く息はものすごく煙草臭く、身体からは煙草の匂いがものすごくするようになっていた。
家に帰るまで煙草を吸いながら帰る真理子、当然のように吸い終えた煙草は路上に投げ捨て足で踏み消し、ペッと大きな唾を吐き、次々と煙草に火を点ける真理子だった。
家に帰ると同時に携帯が鳴り始める。「誰かしら?」真理子は携帯を見ると菜緒子からの着信であった。「菜緒子ちゃんどうしたのこんな時間に?」「真理子さん 私実は急に今日付けでアルバイトの仕事を辞めることになったので真理子さんに一言お礼とお詫びを言いたくて 今までお世話になりました。」そう言うと部長には辞めることについて話をしていることから話は始まり、いろいろ話をしたのち、電話を終えるのだった。
翌日からの真理子の仕事は多忙を極めたものだった。当然、菜緒子がしていた分の仕事もしないといけなかったので当たり前といえば当たり前である。煙草を吸う量も増えるとともに残業時間も増え、真理子の中でストレスもどんどん増えていった。
今日も日曜日なのに真理子は半日は仕事に出て仕事を片づけるのだった。「フーやっと終わったわ」そうつぶやくと真理子は仕事場から家路に着くのだった。
家に帰る途中、パチンコ屋の前を通ると自動ドアの開いた瞬間、中から真理子の大好きな煙草の匂いがした。その匂いを嗅いだ瞬間、「パチンコでもしてみようかしら?」そう思うと真理子は生まれて初めてパチンコ屋に足を踏み入れた。
数時間後には咥え煙草でパチンコを慣れた手つきで打つ真理子、ビギナーズラックもあり、箱を複数積み上げていた。すっかり真理子は「私って意外とパチンコ才能があったのね」と真理子は思った。
思わぬ臨時収入を得ることのできた真理子。家に帰り、ポストを見ると「届いたわね。」と言いながら荷物を開ける真理子。中から出てきたのは2個のピアッサーであった。
若い女の荷物の中にあった雑誌を見てモデルの女の子のように自分もピアスを開けてみようと思い、ネットで調べてピアッサーを真理子は注文してそれが今日届いたのだった。部屋の中に入るとさっそく荷物を開けてピアッサーを取り出す真理子。
そして、消毒液で耳たぶを拭き、ピアッサーも吹いた後にピアスを開けたい場所にマジックで印を点けてピアッサーを勢いよく押す。ブチブチと肉を搔き分けてピアスが入っていくような感覚を真理子は思った。痛いと思ったがピアスを開けたいという気持ちが勝っていた。カチッという音とともにピアスはキャッチに無事収まり、右耳は貫通しピアスが装着された。真理子は同じように左耳にもピアッサーを使ってピアスを開け、両耳に開いたピアスを眺めながらいつものように煙草をふかすのだった。
翌日、仕事に行くと真理子は上司から新しいバイトが入るからよろしく頼むよと告げられた。新しく入ってきた子は一条あかり 高校を卒業してアルバイトをしていたが求人票を見てこの会社に入ってきたらしい。