笛の音 ２．-8
両手が滑りを活かして脇の下まで及び、指先が柔らかい凹みをゆるりとなぞると、こそばゆさと同時に不思議な爽感を感じて、慌てて肘を絞って脇を閉めた。しかし挟み込んでもなお叔父の指がモゾモゾと脇の下を擽ってくる。
「くくっ……」叔父は含み笑いを浮かべて、「こそばいかぁ？ カワイイなぁ、有紗は」
「……そ、そうだね。くすぐったくて、ウザい」
揶揄に反射的に答えたが声が湿った。その反応を黙って唇の端を上げて見下ろすと、ヌポと小さな音を立てて脇から手を抜き取った叔父が下半身の方へ消えていった。ヒップが作るマットの凹みに流れ落ちて溜まっていたローションを両手で掬うと、結んだ手を緩めて太ももの上にトロリと垂らし、全て落とすとそのまま手のひらをベッタリと肌に密して美脚を扱くように塗り伸ばしてくる。
「んっ……」
きっとエステで行われるボディ・トリートメントとそう変わらない。叔父の手で行われているから悍ましいだけなのだ。そう思っても心のどこかでは、脚を往復する手が確実に肌の下の性感を喚起してきているという危惧を感じていた。
「キレイな脚だ……。あんまり短いスカートを履いたら、お父さんの大事な有紗がドスケベ男たちに見られてしまう。くれぐれも気をつけるんだぞ？」
「っ……、何履こうが、そんなの私の勝手……、だし？ ……、……ね、いつまでこんなことしてんの？ キモいし、うっとうしいから、もうやめて」
有紗の反駁は、息が切れてしまったから却って追い込まれ始めていることを叔父に知らせたようなものだった。
「何言ってるんだ。有紗の体を全部、マッサージしてやるんだ」
「……ひゃっ」
足の裏に指が触れて膝を曲げて逃れようとしたが、足首を掴まれて更に引き寄せられた。直後に足の裏に感じたのは、指とは違う、柔らかくも内部には硬い肉の凝りが存在する感触だった。
「うおっ……、有紗は足の裏もきもちいいな……」
「ちょっ、や、め……。マジでキモいっ……」
五指の付け根の凹みに向かって、腰を前後させて勃起を擦りつけてくる。普通に過ごしていればまず他人に触れられることはない趾の間に、あろうことか手指ではなく、男茎の傘や亀頭の裏側の寄り目を擦り込み、
「おおっ、足でおちんちんをムニムニするなんて、ちょっと変な気分になってくるだろ……？」
「だ、誰がっ……」
行為自体の嫌気に駆られて、気色悪い、と言おうとした矢先、信也は有紗の両足首を持ち、ピッタリと揃えたかと思うと、土踏まずの狭間にできた対照の裂け目へ男茎を通してきた。足裏を擦ってくる幹の単なる擽ったさだけではない、無礼で不埒な感覚に恐慄を覚えた有紗が短い悲鳴を放って脚を引こうとしたが、力強く足首を握って腰を突き出してくる。その腰の動きは姦している時と全く同じであったから、平静に見れば愚かしい行為も、むしろ有紗を屈辱感に浸して煽惑させた。
「……気持ちいいぞ、有紗。有紗は足でもセックスができるんだなぁ……。こうしてると、オマンコもチラチラ見えて、余計にイヤラしい」
男茎を突き込む度に、揃えた美脚が崩れ、緩んだ付け根の奥が視界に映るのだろう。わざわざ言葉にしなくたっていいものを、醜悪な面で見下ろされると喉の奥から呻きが漏れた。
思う存分、擬似的に足裏を姦した信也は、漸く足首を下ろし、そのまま両手を脚に遡らせてきた。慌てて脚を閉じ合わせるが、ローションの滑りの前では全く抵抗力は無かった。行き止まりまで到達した手が、脚肌の表面から掬い取って来た粘液をヘアに塗りこみ、無骨な指はヌメリを利して秘門をいとも簡単にくぐってくる。
「……ん？ 中、ちょっとあったかくなってるぞ？ 気持ちよくなってきたか？」
「そんなわけないし……、……ぅぐっ！」
ローションが指と一緒に入ってきて、多少粗暴にイジり回されても痛みは全くなかった。むしろ部屋に入るなり暴虐に遭った時の痺れが癒され、指が滑って性感の集中する場所をしっかりと捉えることができず、グチュッ、と何度も内壺にローションが撥ねる卑猥な音で、刺激が充分に与えられてこないもどかしさを煽ってくる。
「んー？ そうか？ でも、こんなにイヤラしいお汁を漏らしてるぞ、有紗のオマンコは」
「……そ、そのドロドロしたやつが入ってるだけ……！ もぅ、ほんとキモいから、やめてっ」
「腰もクネクネしてるんだけどなぁ？ 有紗がエッチになった時と同じ動きだ……。本当はお父さんのおちんちんが欲しくなったんじゃないのかぁ？」
「っぐ……、……そんなわけない、って何回言ったらわかる……、うぅっ……！」
初めてのローションでの愛撫は、本来持つ筋覚をほぐす効果で有紗の肉体を油断させ、刺激が性感の集中する場所に及ぶと一気に性楽を誘発してきていた。奥から悦びの証が迸りそうになるが、このままでは叔父の指に溢してしまうから懸命に堪えていた。
「そうかそうか……」