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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 姿勢 〜-3

「足をひらく!」 「肩を入れる!」

「もちものをよく見せる!」 「アナルを広げる!」

「口が開いてない!」 「笑顔が汚い!」

 動きがなっていない生徒の番号を呼びつつ、22番に鞭をあたえる。
 その都度『ハイ! もっとケツマンコをおっぴろげます、ありがとうございます!』みたく22番は笑顔で叫んだ。 頬、額、膣、太もも、腹、背中、肩、乳房に至っては左右30発以上鞭を加えたので、第6姿勢の指導が終わるころになると、赤い痕跡が重なって判別できず、22番の全身は茹蛸のようになっていた。

 当然これら以外にも学園が随所で要求する体勢はあり、具体例は枚挙に暇がない。 それらすべてを教えることは、正直限られた時間では不可能だ。 ただ、この6つの姿勢を一部変えたものがほとんどなので、あとは当人の機転次第というほかない。

 とりあえず6つの姿勢は身についた。 100%でないにしろ、わたし的には十分だ。
 チラリ。 腕時計は指導開始1時間を示している。 頃合いである。

「全員気をつけ!」

「「ハイ!!」」

 第6姿勢をとっていた全員が瞬時に直立不動になる。 何度も練習したとはいえ、たったの1時間でここまでくれば上出来だ。 
 
 もっとも行動が遅かったのは22番。 それはそのはずで、誰よりも激しく声をだし、誰よりも多く謝罪し、誰よりも多く叩かれている。 というか、全体返事以外の返事はすべて22番だし、叩かれたのもすべて22番だ。 他の生徒たちの笑顔の中には、22番への気遣いが溢れていた。 誰もが一度は行動の不備を指摘され、そのあおりで22番が鞭打たれている。 15番などは、自分のせいで22番が30発以上叩かれており、隙あらば22番の様子を伺おうとする。

 生徒達はみんな、はしたなく口を開け、次の指示をまっている。 
 見た目の情けなさと裏腹に、神経を研ぎ澄ましているのがよくわかるから面白い。

 もしも私が粗相した本人を叩いていたら、このように全員が集中できているだろうか? 
 人は往々にして『自分のミスで自分が責められる』よりも『自分のミスで他人が責められる』ことを恐れる。 古代の『五人組制』しかり、『連帯責任』しかり。 自分のせいで22番が痛い思いをするからこそ、そうさせじとみんなで想像力を働かせ、今の状態があるのかもしれない。

「おっけい♪ だいたい出来るようになったところで――」

 数人が喉をならす。 心なしか、半数ほどは瞳が明るい。 
 もしかしてわたしの担当がここで終わるとでも思っているんだろうか? 

「――次は体操にいきましょうか♪」

「「ハイ!!」」 「「えっ……ハイッ!」」

 さっきまでと変わらない元気な返事と、一部からは遅れた返事。 満面の笑顔なわたしに対し、生徒たちは明らかに作り笑いを引きつらせていた。 

 ただ一人、涙でぬれた22番だけは、やけに突き抜けた表情で微笑んでいた。


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