中年探偵銀次〜残された暗号@〜-2
「ったく、一体何が…」
紛れも無い殺人が起きた場所をみた銀次は、さっきまでのほろ酔い気分が一気に覚め、眉間にシワを寄せていた。
「銀次、こりゃあ、帰れそうにないな…」
「ああ…神様はどうやら俺らに休みをくれないみたいだな」
「…にしても、ひでぇ殺しかたしやがる。全身刃物で刺されてやがる。」
二人が会話をしていると、50代半ばの男が話し掛けてきた。
「あの…刑事さん、わたくし、店長の柏木ともうしますが、これはやはりこれって殺人なのでしょうか?」
「そうですね。間違いなく殺人です。現場が現場なので、従業員には、帰らぬよう伝えていただきたい」
「はい、わかりました。直ぐさま伝えます。ところで、そちらにいる方も刑事さんですか?」
店長の柏木は、警察手帳を見せない銀次に疑問をもったのか、訪ねてきた。
「いぇ、こいつは探偵でね、よく捜査に強力してもらってるんでね。まぁ、そういうわけで、今回も協力してもらうんで、こいつに何か聞かれたら俺らと同じように答えてやってくれ。」
「探偵ですか…わかりました。刑事さん、お願いします、早く事件を解決してください。殺された従業員も報われませんしこのまま未解決ってことになったら、この店はやっていけません…」
「最善は尽くします。できるだけ捜査には御協力下さい。それが解決への一番早い方法です。」
「わかりました。では、わたくしは従業員を集めてきます。あと、今いるお客様にも帰ってもらいますね」
「そうだな。この休憩室にいくには従業員のいるとこを通らなければならぬみたいなので、一応住所と名前だけを控えて帰ってもらって下さい」
柏木は‘はい’と頷き、現場から離れて行った。
「銀次、先に現場検証をやってしまおう。なるべく早い方がいいからな」
「ああ…」
考え込むような形で返事をした銀次に疑問を感じ
「どうかしたのか?」
と正彦が訪ねると、
「あの右腕の指先を見てみろ」
「ん?右の指先?えーと…ん?あれは文字か?何々…『1・11・9・18・1』と書いてあるのか、何の意味だ?」
その問い掛けに銀次がぼそりと答えた。
「ダイイングメッセージ…」
「何!?ってことは、あの血で書かれた文字が、犯人を知るためのメッセージってことか?」
「たぶんな。そう考えるのが妥当だろう。」
「このメッセージが解ければ犯人へ近づくということか…」
2人が話していると警察からの応援がきた。