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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 補習A 〜-1

〜 補習A 〜

 学園で生きるには、試される側ではなく、試す側に移ればいい。
 常識なんていらない。 同情も、理性も、理解も必要ない。
 好悪や観念はドブに捨てて、どんな事態でも上の立場から関わっていくこと。 そうすれば学園に存在する、まだ見ぬ事態が予想できる。 予想できれば対処の仕様もあるわけだ。

 そうやって私は学園1年目を終えた。 下着は許可されないけれど、一応衣類らしきものの着用は認められる身分になった。 2年目に入っても相変わらず【B56号】と呼ばれ、人格の存在は許されなかったが、教室がC棟からB棟に移り、随分空気が綺麗になった。 講義の内容も教科的になり、休み時間には私語が飛び交うようになった。 意味不明な単語ばかり叫ばされた去年があるだけに、クラスメイトと言葉を交わせるだけで、生きている実感がある。 扉を締めてトイレを使用することも許可された。 排泄のたびにグランドで用便のための穴を掘らされたり、先輩に無理難題を言い付けられた1回生に比べると、天と地ほどに違いがある。 トイレ使用には依然厳しい作法があるが、それでも嬉しいことこの上ない。

 さて。 いままでC棟のトイレを中心に排泄してきたが、さきほど私たちの担当である【4号教官】から『A棟のトイレも使用して構わない』との言葉があった。 私以外は相変わらずC棟で用を足しているようだが、私は違う。 A棟とC棟で何が違うのか、関心があった。

 階段を降り、渡り廊下を急ぐ。 休み時間は10分しかない。 往復に5分かかるとして、用便を5分で済ませなければならない。 もちろん何の制限もないなら5分で十分だが、この学園である以上無事に用便できる保証はない。 

 何をするにしても、新しいことは緊張する。 教室を出てから約3分。 私はC棟と比べると真新しい、ピカピカのトイレを前にしている。

 ブイイイン。 

 頭上で動く監視カメラ。 いつでも監視されているとはいえ、あからさまにモニターされていると思うと、少し緊張するのは仕方ないだろう。

 ドアノブから石鹸の香り。 いつ以来だろう? 幼年学校では毎日石鹸で手を洗うことができて、ちゃんと食器にられた食事をお箸で食べていた。 幼年学校を卒業し、学園に入寮が決定し、入寮者全員必修の合宿に参加するまでは、日常に石鹸の泡があった。 合宿で人格を揉みくちゃにされて依頼、泡の香りとも疎遠になった。 だから、もう1年以上ぶりになるんだろう。

 スー。

 一呼吸。 大きく吸ってドアノブを回した。 微かな音をたててドアが開く。
 
「……?」

 なんということはない。 ごく普通の洋式便器が据えてあり、白いフタが閉まっていた。 
 C棟のように鏡張りだったり、不自然な姿勢を強要するトイレかと思ったが、いたって普通な白塗りの壁、白陶器の便座だ。 紙もある。 小ぶりの手水もある。 しいて違和感を挙げるとすれば、便座も貯水タンクもかなり大きいことだろうか。 

 私は小柄だ。 クラスでも一番小さい部類だ。 

「座れるかな、これ」

 もしかしたらお尻が便座に嵌るかもしれない、などと危惧しつつ、フタを開けた。 

「……っ!」

 私は息を呑んだ。 腰かけようとして目についたものは、私と幾許も違わない少女の顔だった。


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