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エスが続く
【OL/お姉さん 官能小説】

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3. Softly, as in a Morning Sunrise-8

 二十四時間いつでも愛してほしいと思っている。悦子は立膝のまま両手で扱きながら、闇の中に見える平松の瞳を熱っぽく見つめた。その艶容は闇に朧だったが、視線の色は平松に届いたようで、上体を起こし、頬に手を添えてキスをされながら手の中に押し付けられた物は見ずとも分かった。悦子は疾る手でビニールを破ると取り出したコンドームを男茎に被せていく。
「い、いれていい?」
「……」
 膝を踏んで男茎の真上に自分の体を持ってくると、逆手に手を添えた男茎の先端を入口に押し当てながら問うたが、平松の声が返ってこない。薄目を開けて平松を見返そうとしたら、ピッという音とともに部屋が明るくなった。平松がリモコンで灯りを点けたのだ。
「ヤラしい顔」
 そう指摘されて、悦子は眉を寄せてもどかしげに腰を揺すって平松の先端に秘丘の間を押し付ける。翳りが剃り落とされているから、下腹の様子を全く隠すことはできていない。腰を前後に揺すって擦りつけている淫らな行為を目の当たりにされて、
「ううっ……、翔ちゃん、おねがい……。おちんちん、いれさせて……、ください」
 敬語でなければ許してくれないと思い、頬を朱に染めて唇を締めた羞恥と淫欲に塗れた表情を隠さず訴えた。
「いれたい?」
「うんっ……。ご、ごめんね。……今日さいご。……もう、い、一回……。おねがいします」
「いいよ、おいで」
 平松の許しを貰えて、悦子は安堵にも似た表情を浮かべて溜息をつきながら腰を下ろしていった。平松の両肩に手を置いたまま、腰を淫猥に動かしていく。傘の縁を内部の、まさに悦子が求めている場所を摩ってくるように導くことができると、悦子は平松の顔へ近づいていった。垂れ落ちる髪が邪魔で耳にかけながら差し出されている舌をしゃぶる。
「ああっ……、き、きもちいい、翔ちゃんっ……」
 悦子が熱に浮かされるように言うと、平松は腰をしっかりと掴んで、悦子の体の動きに合わせて真下から力強く突き上げてくる。脳天まで響く衝撃にせっかく耳にかけた髪が衝撃で垂れ落ちるから、悦子は頭を揺すって髪を背中へ向けて振り除けて、
「しょ、翔ちゃんも気持ちいい?」
 と妖美な視線を浴びせて真摯に問うた。
「うん、気持ちいいよ、悦子の体」
 平松の返事を聞いて、悦子は意識的に下肢に力を入れて平松の男茎を締め上げるように努めながら貪婪に腰を揺する。悦子が期待する言葉を言ってくれれば、愛してると連呼しながらもっと燃え上がることができる。だが、絶頂は何度も迎えたが一向にその言葉は聞こえて来なかった。




「つまり、何かい? あんたんとこの新人の女の子に大事なカレシを取られそう、ってことかい?」
 美穂は半分に割られたエビの身を裏返して焼け加減を確認しながら言った。
「うん、そう」
「それは、何だ。何か尻尾でも掴んだの?」
「……ね、美穂? 気のせいかもしんないけど、あんまり親身になってくれてない感じ?」
「いや、そんなことないよぉ。聞いてたよ、あんたの話」
 焼き過ぎると美味くないんだよな、と集中力の半分をエビに費やしつつ、「あんたの下に入ってきた、ここ数年ピカイチの新入社員の女の子が、あんたが好きでたまらないカレシの理想のタイプ……、アニメだっけ?」
「ゲーム」
「うん、そのゲームに出てくる女の子に、名前が非常に似てるから心配しています、ってことでしょ?」
 よし、ここが頃合い。美穂は懇切丁寧に焼いたエビを網から取り上げると、半尾ずつ悦子と自分の皿に取り分けて、竹匙に掬った岩塩を振ってやった。
「なんか伝わってないような気がするけど、だいたいそういうこと」
 彩奈は適度に優秀で、適度に未熟だということがわかった。大学時代は横浜駅中のスイーツの店でバイトをしていたらしく、売り子として老若男女を相手にしていただけあって大変人当たりがいい。自分が人受けがいいということを無意識に察知しているのだろう、その好感を最大限に利用して相手の懐に入り込むタイプ。また人の考えていることを読むことに長けているようで勘がいい。皆まで言わなくとも、一定のラインで最後まで察してしまう。この素養はまさに営業向きだ。とはいえ、業務知識も要領も身につけていないから、入社してすぐに即戦力というわけにはいかない。悦子が説明することを頷きながらメモを取っている、彩奈のキラキラとした瞳を長い時間見返すことができず、ふと手元のメモを見やるとポイントを抑えて整然と取ってあった。教え甲斐がある。普通ならば、扱いやすい新人が入ってきて大助かりといったところだ。
「まは、ウチの部署の男どもも色めき立ってるよ。みんな、あんたの部署をチラッチラ見てんの。確かにウチのフロアには居なかったタイプだよねぇ」
 足がパリパリになって美味いんだよね。美穂は熱さに口を窄めて空気を送りながら咀嚼すると、口の中に広がる焦げた香ばしさと身の甘みが広がって顔を至福に歪めながら言った。


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