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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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略取4-6

 岩井はヒョイと立ち上がり、義雄の目の前でスクワットを始めた。
「ほれ、ワシはまだこんなに元気」
 しゃがむと長着がはだけ、白いふんどしが見えた。胯間の膨らみは、まるで瓶ビールでも入れてあるかのようだ。
「一、二、三……」と数え、何と三百まで数えた。
「一万はやった昔とは違い、ずいぶん衰えたがのう」
 想像もつかない回数だ。息もあがっていない。この年齢でとても考えられない体力である。
「実はな、言っておくことがあるのだ。お宅の元奥さんをな」
 隣にドカッと座り込み、肩をつかまれた。
「ワシがもらうことにした」
「ウアァ!」
 岩井の指が肩の肉に食い込んだ。強烈な握力に骨がきしむ。もらうとはどういうことだ。あまりの痛みに思考が定まらない。
「長い間こんなマッチ棒のような男を相手にしていたのか。奥さんも可哀想にのう」
 手は離れたが痛みで息苦しい。満身の力を込めないと腕が上がらない。そこに触れることすらできない。
「離婚したのだから、奈津子も自由。ワシは元々独り身。問題はなかろう」
 岩井は奈津子の名を呼び捨てた。
「まだ……出して……いません」
「うん、何をだ。ああ、離婚届のことか。であれば、やはりお宅に乞うのが筋か」
 どのような経緯で家政婦の仕事をするようになったのだろう。奈津子が残したメモを思い出す。恵の居場所とは、まさか……。
「このとおりだ、ちゃんと奥さんは可愛がる」
 岩井は両手を太ももの上に置き、頭をさげた。だが、それはできない相談だ。奈津子には返ってきて欲しい。小さく首を振った。
 岩井は立ち上がってワインを数本持ってきた。
「うん、可愛い奥さんだからな。そうそう、ワシが奈津子に連絡したのだ。娘に会いたいと言って飛んできた。その娘は帰ったが奈津子はそのまま居着いたのだ。お宅のところにいても針のむしろ。よすがもなかろう」
 ショックだった。やはり恵は岩井の庇護を受けていたのだ。経緯を聞きたかったが、もう舌が回らない。恐らく口はだらしなく開き、よだれさえ垂らしている気がする。もしかしたらワインの中に妙な薬を……。
 恵に会いたい一心で訪れた奈津子は岩井に頼まれて仕事に就いたのだろう。接するうち娘ほど年の離れた奈津子に好意を寄せるようになった。その憎い夫がよりを戻したいことを知り、気分を害したのだ。
「娘もとびきり……ワシが引き取って可愛がってもいい」
 そうつぶやいて、喉の渇きを潤すかのようにワインを飲む。
「よくぞあれほどの美少女を産み落としてくれた。ワシからも礼を言いたいくらいだ。奈津子と違って細身だが、いいバネを持っておる。うん、ワシは昔柔道をやっていてな、それを少々教えてみた。万が一暴漢に襲われたときの護身術をな、それだけよ」
 恵はここで何をしていたのだ。
「それはそうと、奈津子の肌は白いのう。光の中では眩しいくらいだ。見かけは処女のように初々しいが、肉体は違う。田倉さんに手練手管を仕込まれた体だからのう」
 義雄の顔をのぞき込む岩井は笑っていない。
「もう少し、アルコールを飲みなさい。うん、その方がいい」と、いきなり髪の毛をつかまれた。頬を押さえられ、ワインの瓶を口の中に押し込まれた。口からワインがあふれる。咳き込むが行為をやめない。ゴボゴボと口の中で音がする。
 岩井が半分ほど飲んだ残りを全て口の中に流し込まれた。その半分以上が口からあふれることになるが、飲み込んだ量も多い。
 吸い終わると立て続けに葉巻に火を付けた。煮物を手づかみで次々に口に放り込み、ワインをラッパ飲みしながら、鼻から煙を吐いてムシャムシャと食べた。


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