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〈熟肉の汁〉
【鬼畜 官能小説】

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〈忌諱すべき覚醒〉-7

『この縄はだな、軽く縛ってる…だから、縄目の跡を作りたくないなら、最後までジッ…としてだな……ん〜?』


投げ掛けるように語尾を上げて、オヤジは恭子に語りかける。


『足首とか膝なら旦那様にも隠せるでしょうが、手首となると…?奥さん、私達の“優しさ”を感じては貰えませんかな?』


見れば、確かに手首を縛っている縄は輪を作られて、かなり緩めにされている。
しかし、決して引き抜く事は出来ないように、それは絞られていた。

穏やかな口調の中に秘められた狂気……つまり、耕二に〈この事〉を秘密にしておきたいなら、一切の抵抗を自ら封じ、されるがままでいろ。と、命じているのだ……クスクスと笑う声が周囲から沸き起こる……これからの恭子の振る舞いは、どちらに転んでも嘲笑の的にしかならないのだ……。


『早くも…ん?尻にパンティーが張り付いて……ん?深い割れ目がクッキリと…ん〜?』

「ひいぃッ!?嫌あッ!!!」


縄で吊られてしまっているが故に、恭子の尻は背中を反らせて突き上げられてしまっている。
捲られてしまったワンピースが直されている訳は無く、厚みのある丸い尻は、金色の素地と黒の刺繍に飾られたパンティーだけで守られているに過ぎない。

まるで防着としては役に立たない薄布にオヤジの指が触れた瞬間、恭子は飛び上がるように身体を跳ねさせ、恐怖に歪んだ悲鳴をあげた。


『あぁ…言ったそばから……縄目が付いてしまいますよ、奥さん?』

『旦那にバレたら大変では?……早とちりして…ん?浮気相手とSMプレイに興じたと…ん〜?』

「ひッ…卑怯よッ!!こんな…こんな真似して…ッ!!」


恭子は、目の前に巨大な鏡が有る事に今気付いた。

神に縋るように指先を絡めて両手を握り、天井に向かって尻を突き上げたその向こうには、変態オヤジが嬉しそうな笑顔を振り撒き、鏡越しに恭子と視線をあわせてきていた。
そして、もう一人の変態オヤジは恭子の直ぐ隣に立ち、指先に髪を乗せては、パラパラと零れ落ちていく様をニヤケながら見ていた。


『良〜く……奥さんの顔が…尻を触られて発情した顔が見えるぞ?…ん?ん〜?』


恭子は全身が総毛立つのを感じた。
女性の困った顔や羞恥に歪む顔に欲情する者は居るが、このオヤジも其れなのだ。
きっと下半身を弄びながら、泣き叫ぶ顔や苦悶に引き攣る顔を眺めて悦ぶのだと、恭子は直感した。


何もかも視られてしまう……。


禍々しい好奇心を隠そうともしない変態オヤジに“玩具”にされるしかない悔しさは筆舌に尽くし難く、しかし、如何なる言葉や行動を取ったとしても、それは嘲りと謗りの対象になるだけだろう。



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