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悠久の恋の果てに
【ファンタジー 官能小説】

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ゆらゆらと揺れる視界の向こうに見えたものは
古い様式の大きなお屋敷だった。

そう―――
お屋敷という言葉がぴったりの。
イマドキでは見かけない建物だった。

「みさを」

遠くで聞こえた男性の声が、庭を通り裏庭までかけてきた。
私はどうやら空からこの屋敷を見ているらしい。

「また此処に居たのか。みさを」

みさをと呼ばれたのは、女中さん?
カスリの着物を着てエプロンを締めている。

「すみません。坊ちゃん。大事なお皿を割ってしまいました」

しょんぼりしているみさをを前に
坊ちゃんと呼ばれた人がクックックと笑いをこらえている。

「女中頭のヨシに叱られたか?うん。あんみつを食べに行こう」
「でも」
「いいから。みさをはあんみつを食べると機嫌が直るだろ」
「坊ちゃん」

「いいんだ。お皿の1枚や2枚。大したことじゃないだろう」
「・・・・」

坊ちゃんがすっと差し出した手にみさをは自分の手を重ねることはしなかった。
「私と手をつないではいけません。もう小さい頃とは違うのです」

「かあ様に、何か言われたか?」
「・・・・」


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