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悠久の恋の果てに
【ファンタジー 官能小説】

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「それぐらい。許してくれよ」

坊ちゃんが苦笑いした顔を見てみさをも寂しく笑った。

「そんな隠し言葉で呼ばなくても。みさをの心は坊ちゃんのものです」

二人の言葉がやけに悲しく響いた。

「伊太利亜は何が美味しいのでしょう?」
「スパゲッチという麺があるらしいぞ」
「へ〜」
「トマト味らしい」

話題を変えたつもりでも、二人の目はお互いを思いやる気持ちでいっぱいなのが分かる。

「伊太利亜に行けば、食べられるんでしょうか?
誰の目も気にしないで坊ちゃんと手をつないで食べに行きたいですね」
「接吻も。できるぞ」
「接吻ですか・・・」
「ああ・・・日本じゃなければな」

「接吻なんて大それたことは、望んでいません」
「みを」
「手をつないで歩きたいなぁ。と思うだけです」
「うん。それだけでいい」
「伊太利亜に行ってみたいですね」

「みを。僕のみさを。好きだよ」
「坊ちゃん」
「抱きしめることさえ。手をつないであんみつを食べに行くことさえ
できないけれど」
「その言葉だけで幸せです」

二人の言葉が渇いた砂のように
ただただ、落ちていった。

ゆっくりとその場面も歪みが始まった。
また違う場面に私は行くらしい。


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