指嗾-13
「いひゃ……、いた、い……、よぉ……」
苦悶の表情を浮かべながら輝子はジョゼとキスを続けていた。
「じゃぶりな？ 俺の舌。痛くなくなるから」
そう聞こえてくると、ニュルッと口内に長い舌が押し込められてくる。意味のわからないながら、輝子は言われるがままにジョゼの舌を頬を窄めて吸った。ジョゼが顔を前後させて輝子の口内を穿るように長い舌を挿抜してくる。不思議と窄めた頬の内側にジョゼの舌が擦れると、快楽と言っていい感慨が頭の中に溢れてきて下腹部の痛みが凪いだ気がした。それすらジョゼに見通されたのか、瞬間ジョゼの男茎動き始める。
「うぶっ……」
舌をしゃぶりながら呻きが漏れた。これ以上入らない、入るわけがないと思っていたから、男茎は引かれていくものと思っていたのに更に先に進んできた。濁った声を漏らして口端から涎を顎に垂れ流しながら腰の手をジョゼの首に回すと、タトゥに指をめり込ませるようにしがみつき、ひたすら舌を吸う輝子の柔らかな最奥に亀頭が到達する。今まで自分でも触れたことがない場所に他者の肌を感じた輝子は思わず内ももに力を込めて、いっぱいまで拡げている筈の男茎を壁で締め付けた。小刻みに男茎が揺すられる。擦れる度に痛撃が走るが、やがて襞を襲っている痺れと区別がつかなくなって、痛みによる煩悶よりも巨大な凶器に犯されて今までの自分を失っていこうとする喪失感のほうが勝っていく。そして男茎の挿抜の幅が広がっていくにつれて、痺れも麻痺していき、後には内部を擦られる貪婪な性感だけが残り始めた。
「……気持ちよくなってきた？」
舌を抜かれて目の前で問われる。もう瞳には懇篤の慈しみはなく、快楽に溺れつつある女を含味するような嘲りしかなかった。
「やだ……。やだよぉ……、はじめてなのに……」
「はじめてでも気持ちよくなってんだろ？」
姦してから最も強い一撃が見舞われて、輝子はジョゼの唇にふるいつきながら声を上げた。「……初エッチでこんな感じるなんてね？ 相当なアレだな」
「うあっ……、ジョ、ジョゼ……、なんで……」
髪を切ってくれているときはあれだけ優しかったのに。初め胡散臭いと思ったのを申し訳ないと後悔していたのに。
一瞬にして凶暴になったジョゼは、輝子のまだ開いたばかりの秘唇にそぐわない凶器で最奥まで何度も突き上げてきた。騙されたという憤りが湧いてこないほど、ジョゼの肉体からもたらされる、身を穢れさせる抗えない快楽が輝子を正気に戻してくれなかった。気持ちいい。もう痛みも痺れも、疼きと区別がつかない。
何度目かわからなくなった打突が子宮口をいっぱいにまで押し上げて突きこまれた瞬間、輝子の両足は肘掛けから離れてピンッと天井に伸ばされると、体の芯が灼け落ちていく絶頂に見舞われていた。遠のいた意識の中、男茎を貫かれた入口のすぐ上の小さな穴からチョロッ、尿なのか潮なのか分からない滴が漏れ出た。
「汚すなよ」
不意に男茎を抜いたジョゼは輝子を無理矢理立たせると、蹌踉めく体を支えながら、下腹部で捩れて何の意味も成していないショーツを毟り取り、足首から抜いてぽんと汚らわしいもののように捨て、背後に回ると自分がチェアに座った。輝子の腰を引き寄せるように自分の上に座らせると、軽々と輝子の体を持ち上げて、今しがたのように膝ではなく、スニーカーの底をしっかりと肘掛けに付かせた。大きくＭ字に開いて、肘掛けの上にしゃがんだような姿が前面の鏡に映される。漏らした水滴がしゃがんだお尻からポタポタとジョゼの上に落ちている様まで鏡で分かった。鏡の中の水滴の行方を追うと、真下からジョゼの男茎が伸びている。この体勢で見るとその尋常ではない長さが否応にも分かった。
「やっ……！ ちょっ……」
肘掛けの幅は広すぎて、腰を支えられていなければ自力で乗っていることはできない。だからジョゼが腰を下方に引いて輝子の下腹部を下ろしつつ、亀頭が再び入口にあてがわれて来ても、輝子には避ける術がなかった。
「うあっ……」
亀頭が入って来て体を押し広げられる感覚は、二度目でも強烈だった。しかも見なければいいのに目の前の鏡に目線が向いてしまって、大きな男茎に対して狭すぎる自分の下腰へねじ込まれていく様が何もかも映しだされている。
「や……、ジョゼ……。……ジョゼぇ……」
どうしていいか分からずに、今自分を姦している男の名を呼んだ。ジョゼはチェアから腰を浮かせて鏡の前で輝子の秘門を割った男茎を巧みに出し入れしながら、体を支える手を未熟な胸乳へ向かわせて、大きな手で健気に硬突している乳首を摘み、引っ張ってくる。
初めてなのにこんな性交をしている。接合から飛沫が内ももの膝近くまで飛び散っているのが見える。ジョゼの亀頭が最奥を押し上げてくる度に、先端へ向かって熱い蜜を降り注ぐのを抑えることができない。鏡の中の自分と目が合った。こんなにイヤラしい子だなんて、誰にも見せられない。友達もさすがに引く。だが気持良すぎて、ジョゼの腰に合わせて、肘掛けに付いた足を踏ん張って自分も腰を動かさずにはいられない。