投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『正夢』
【青春 恋愛小説】

『正夢』の最初へ 『正夢』 11 『正夢』 13 『正夢』の最後へ

正夢〜希望〜-1

突き抜けるような青い空…眺めていると、白球が視界に入った。
どこまでも高く、遠く飛んでいく様子は、私達の未来のようにも思えた。
視界を落として、その白球を打った人を見つめる。こちらに気付いて手を振るあの人は…。



ピピピッ!!ピピピッ!!

「う、ん…」

耳障りなアラームを止めて、私はベッドから起き上がった。

「なんだったんだろう…」

とても不思議な夢だったが、いくら頑張っても最後の部分が思い出せなかった。

「あ、早くしないと待ち合わせに遅れちゃう!」

夢のことはとりあえずおいといて、私は学校に行く準備を始めた。


大急ぎで準備を整えた私は、学校から最寄りの駅のベンチに座っていた。

「遅いなぁ…」

駅を見ると、これから学校や仕事へ行く人々がたくさん出てくる。これでは、彼を捜したくても捜せない…。
と、突然肩に手を置かれる。

『お姉ちゃん、元気ないねぇ?俺と一緒に遊びに行かない?』

後ろを振り向かなくても分かる。この声、この雰囲気、この手の温もり…。

「そのセリフ凄く古いよ高山くん」
『あ、やっぱり?』

彼…高山 渉(たかやま わたる)は、私…高久 珊瑚(たかく さんご)の彼氏で付き合ってもう五ヶ月になる。
進級して、渉くんと同じクラスになって。とても嬉しい毎日を過ごしている。

『じゃ、行こうか?』
「うん!」


二人で並んで学校までの道のりを歩く…なんでもないことなのに、とても幸せ。
この幸せがずっと続くといいなぁ…などと考えているうちに学校に着いた。

「あ、昨日高山くんが休んでる間に球技大会の役決まっちゃったよ」
『あ、そうなの?んで、おれ何に出るの?まぁ何でもOKだけど!』
「ソフトボールだって!頑張ってね!」
『あぁ!ソフトね!ソフト…ソフトボール!?』
「え!?…うん…翔が決めちゃったみたい」
『あの野郎…知っていてやりやがったな…』

高山くん、どうしたんだろう…ソフトボール嫌いなのかな…。

何が起こったのか聞くに聞けず、高山くんは機嫌が悪いままにクラスに直行した。


『正夢』の最初へ 『正夢』 11 『正夢』 13 『正夢』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前