5.つきやあらぬ-11
「可奈子さんは笹倉くんがお気に入りなんですねぇ……」
画面の外から感想が聞こえる。カメラを構えている男の声だ。
「んっ……、そうよ。ウチの研究員では、笹倉くんが一番カワイイっ……。優秀だし……」ドレスを脱ぎ去った可奈子は、さすがに紅美子と比べれば胸回りや腰、ヒップが緩んでいるが、それが熟れた女の裸身の淫靡さへ拍車をかけていた。「オチンチン、もうこんなに硬くしてる……」
「んっ……、しゅ、主席……。もう、や……」
「やめないわよ?」
急に厳しい口調で言って可奈子は徹を見据える。「こんなに勃起させてるくせに、よくそんなこと言えるわね?」
「お、俺、婚約、してます」
「だからなに?」可奈子がジーンズの上から強く徹の股間を握りしめる。「婚約してるのに勃起してるのは何故? 説明できる? あんなにカワイイ彼女がいるのに、どうせチンボコからガマン汁漏らしてるんでしょ? 力学式で説明してくれてもいいわよ。高分子シミュレーターも使う?」
可奈子に握られて徹はとっさに腰を引こうとするが、もう一方の腕が腰に絡みついて引けなかった。
「説明できないのなら、ジッとしてなさい?」
可奈子は徹のコートを肩から外して前を大きく開き、セーターを中のシャツごと捲り上げた。徹の痩身を露出すると、ジーンズに浮き上がっている男茎の形を確認するように握りほぐしながら、
「自分で持って」
と徹に捲ったセーターの裾を持たせた。まるで内科医の診察を受けるように衣服を持って上躯を晒している徹へと身をかがめていく。肌身に息づく乳首に唇を密着させ、ネットリと舐め上げると、徹は身をもどかしそうに捩った。
「……笹倉くんって、本当にエッチなカラダしてるね。乳首ビンカンだし、オチンチン、かたくしちゃって……」
可奈子は嬉しそうな表情で徹を見上げると、ジーンズのベルトを緩め、腰から手を中に突っ込んでいく。徹の膝がガクッとなった。紅美子が直接触れてやるときと同じ反応だ。
「やめて……」
モニタに何を言っても事が進む。可奈子が逆手に差し入れた手が上下に動く度に、だんだんとジーンズのジッパーが降りていき、ブリーフの腰ゴムがズリ落ちて硬直した男茎が顔を出してくる。可奈子の派手なマニキュアに彩られた指が亀頭を撫で上げ、透明汁の糸を引かせながら幹にまぶしていくと、徹は苦悶の表情で更に先走りを漏らしていた。
「……ね? ヌイてほしい?」
「い、いえ……」
「だって、こんなにピクピクしてるよぉ?」
「……っくっ、や、やめてください……」
可奈子は立ち上がった。中途半端な前屈みになった徹を、高い位置から人差し指の爪の先だけで顎を上げさせて、
「してほしかったら、パンツ脱ぎなさい。自分で。もっとイジめてほしいんでしょ?」
と命じた。
「あ……」
徹は小さく声を漏らして、前屈みの姿勢のまま見据えられるままにジーンズと下着を降ろしていく。何をしているの? 紅美子はモニタの中の徹の行動に息が止まった。
「ほら、ベッドに寝て?」
可奈子が命ずると、徹が上半身はセーターなのに下半身は丸出しの姿で、ゆっくりとベッドに登っていく。カメラは徹の動きを追い続けていた。ベッドの上に仰向けになると、セーターの裾からそそり勃っている男茎が、興奮に脈動して頭を上下に蠢かしていた。可奈子は下着姿のままベッドサイドにオットマンを引きずってくると、ベッドに脚をかけて座った。
「エッチなオチンチン……、ほら、イジメてほしくて動いちゃってる」
上げた片脚の踵が徹の股間に伸びてくる。細く高いヒールの先をゆっくり降ろしていくと、亀頭を振っていた先端がヒールの先に触れて、徹はうめき声とともにセーターの上に透明の飛沫を飛ばした。
「ほら、踏んで欲しい?」
後ろ手に手を付いて、靴先で徹の亀頭を突つく。
「はっ……、くっ……」徹は悶えながら、「しゅ、主席……」
「だーめ。可奈子って呼んで?」
紅美子は嘔吐感がこみ上げてきて顔を伏せた。可奈子さん、と徹が呼ぶ声が聞こえてきてすぐに、鈍く濁ったうめき声が聞こえた。
「やだもぉ、いっぱい出しちゃって。エッチなんだから」
可奈子は悦びの声とともに、夥しい精液をセーターの上に放出してもなお硬直し続けている徹の男茎をヒールで挟み、足首を動かして上下させる。「ほら、もっといっぱい出るでしょ? 出していいわよ。こうされるの好きなんでしょ? 顔見てたら分かるんだから」
「やめて……、やめろっ! ババァっ!」
モニタを睨みつけ紅美子が吠えても、画面の中ではヒールに挟まれた男茎が可奈子の足に踏まれて悶えていた。片足の腿と脇腹に付いたヒールの先端がめり込んでいる。かなり痛い筈だ。しかし徹の男茎はその傘が呼吸するように動き、次なる放出に向けて興奮を充填していっていた。
「……やめて、徹。……とおる、……」
紅美子は嗚咽を漏らし、モニタの中の徹に向かっ言った。「私がしてあげるから……。したいこと言ってくれれば、何でも……、してあげたのに……」
涙で画面が歪む。やがて徹が先端から八方にしぶきを飛ばして二度目の射精に導かれると、可奈子は両脚を降ろしてベッドに上がり、立膝で徹の顔を跨いだ。腰が下ろされると、うっく、という徹のうめき声が前後に揺すられる腰に圧迫されて消えていった。