4.月は自ら光らない-9
徹が舌を差し出してくると、紅美子は少し尖らせた唇で何度もつついたあと、唾液が溜めた舌を絡めて行った。徹の手が後ろ側が開いているエプロンに回されれてミニスカートの上からヒップを撫で、裾を少しずつ捲ってくる。
「エプロン姿に興奮しないで。こんなので結婚したら大変だよ?」
紅美子が囁いて徹の頬や耳へ唇を這わせると、抱きしめている徹の体がその度に身震いした。ミニスカートのヒップは完全に捲れて、徹の指がショーツの縁を撫で回しながら徐々に前へと回ってくる。エプロンの前裾もめくり上げて、前面から奥まで差し入れようとしてきた。
「だめ」
紅美子は腰を引いて、徹の指の侵入を妨げた。「エッチしてたらご飯作る時間も、徹が仕事する時間も無くなっちゃう」
「そんなっ……。い、一回でガマンする」
「私が止まんなくなる」
紅美子はその場に膝まづいて、徹のジーンズの前を開け始めた。「これにしよ? ね?」
徹のジーンズの前を完全に開き、下着と一緒に脚の付け根まで下ろすと、完全に勃起した男茎が目の前に屹立した。既にガマンを強いられていた男茎は、その表面をヌメヌメと明かりに照らして湯気が立ちそうになっていた。ヒクつく亀頭の先端の裏側の凹みに、チュッと音を鳴らして一度だけキスをすると、徹が切なげな声をあげて先端から雫をこぼした。徹の反応が愛おしくて、紅美子は徹の下腹に両手をついたまま、顔だけを差し入れて陰嚢の下端から肉幹の先端へ向かってネットリと舐め上げていく。繰り返し舌を下から上に這わせる度、徹は脚を痙攣させて崩れ落ちそうになっていた。
「……徹、私のこれ、好き? 気持ちいい?」
「うっく……、すっごい、好き……。気持ちいい」
「してほしいときは、ちゃんと言ってね」
「うんっ……、してほしい」
「今は、してるじゃん」
紅美子は微笑みながら、左手で徹の根元を握って少し倒すと、背を伸ばして先端から口の中に含んでいった。その瞬間徹が大きな喘ぎ声を上げる。右手の手のひらで優しく陰嚢を擽ると、中身がグッと上がって今にも爆発しそうになっている。卑猥な音が立つのも厭わず、頬を窄めて顔を上下させたあと、亀頭の傘の縁を舌先でクルクルと舐め回してから、
「出そう……?」
と潤んだ瞳で徹を見上げた。徹は顔が溶け落ちそうなほどに上気して、紅美子見下ろし、髪をまとめた頭を撫でて、
「出したい……、ク、クミちゃん……」
喘ぎが多分に混じった声を上げる。唾液と透明汁に塗れた男茎を握り、ゆっくりと、徹が暴発しないように慎重に手首を上下させる。
「もう出ちゃうの? ……早い」
「んっ……、だって、クミちゃんにされたら、たまんないよっ……、っく……」
「……気持ちよくなってる徹、すごく可愛い」
「ク、ク……、クミちゃん……」
徹が震える手で頬を擦ってきた。「……、……か、顔……、いい……?」
その言葉を聞いて、徹が恋情の限りを爆発させる精液を、顔で受け止めた肌の感覚が生々しく蘇った紅美子はミニスカートの中を甘く疼かせた。
「……顔にするの好き?」
「好きっ……」
「征服欲?」
ニッチュッ、ニッチュッと指と男茎が擦れる音を聞き、紅美子はショーツの中に蜜を次々と溢れさせていた。
「……そんなんじゃないっ、……クミちゃんを、……俺のものにできるから……」
「それ、征服欲っていうんだよ」
紅美子は笑って、「……でもだめ。まだ化粧してる。ご飯作れなくなっちゃう」
「んんっ……、ご、ごめん、ク、クミちゃん……」
徹が不躾な願いをしてしまったとでも言うような、畏まった声をあげたから、 「……仕事ちゃんと終って、ご飯食べてからなら、していい」
言ってやった。徹の表情が晴れていく。
「んんっ……、ほんと?」
「したいんでしょ?」
紅美子は亀頭の先端に一度キスをし、「いまはこっち……。飲んであげるから、いっぱい出して」
と言って再度口の中へ頬張っていった。頭を巡らせる紅美子の頬の内側へ亀頭を擦られた瞬間、徹が呻き声を上げて、愛情の証を口の中いっぱいに放出してきた。鼻息混じりの声を漏らしながら、紅美子はあまりの勢いに口端から漏れ出しそうになる樹液をエプロンにこぼさないよう唇を強く締めて吸い付く。これまで口の中に出された中で一番濃厚な精液を、自然と溢れてくる涎で希釈し、男茎を唇から抜き取ると正座で背筋を伸ばして嚥下した。上を向き徹の味を鼻腔に抜いて堪能する。薄め切れなかった粘液が喉に絡みつくのでさえも不快感よりも幸福感を感じた。薄目を開けると、徹の男茎はこれだけ放出したのにまだ上を向いていた。
「……仕事」
「うん……」
「だから仕事っ。……それ、しまって。見てたらしたくなる」
紅美子は立ち上がって、エプロンを払いつつ付着してしまっていないか確認し、徹を睨みつつ少し前屈みになって捲れていたヒップのミニスカートを下ろした。徹は未練たっぷりに下着を上げジーンズを履き直す。