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爛れる月面
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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4.月は自ら光らない-13

 自分の嬌声に物凄い水撥ねが混ざっていた。立ったまま片脚を上げて、紅美子は井上の指の圧がより強まるように腰を突き出すと、内部が急激に収縮して指を中に引き込み、
「うあっ……!」
 と大声を上げると一気に弛緩していた。やっと来た本物の絶頂に、井上の逞しい腕の中で何度も体を震わせ、ローターの直下で下腹に甘く滞留していた汁が尿道口から漏れ出た。直裏の指で壁越しに掻き出されると、下脚を伝ってタイル床に流れ垂れていく。
「いつもより、イキかたがイヤラしい」
 浴室に沈殿するような低音を聞かせて、井上は紅美子の絶頂の引き波を長く持続させるよう、ニチュッ、ニチュッと淫らな音を立てて指を前後させる。
「ぬ、脱がせて……」
 悪魔的な絶頂の余韻にこめかみを痺れさせて呻く紅美子に、
「そのままでもっとできる」
 と許してはくれず、前後させている指の速度を速め始めた。性感を爆発させた直後で敏感になっている紅美子の内部は、再び指の節で襞を擦られて、新たな波が押し寄せ始める。
「やっ……、ま、まだ」
「まだ?」
「……した、ばかり、だから……、や、やめて」
「敏感になってる? ……ココだろ?」
 二本の指が揃えられて、Gスポットをグッと押された。
「うああっ!!」
 紅美子は棚に乗せた脚を震わせ、また下腹に疼痛混じりの滞留が起こり始めた。
「徹くんよりも、君をイカせるって言ったろ?」
 裏切りの共犯者の低い声。浴室に籠る背徳の沈殿が嵩が増す。「ほら、またイキそうだ。見せてくれよ、徹くん以外の男にイカされるとこ」
 声を我慢しているほうが羞しいのか、声を放ったほうが羞しいのか分からなくなって、どちらの反応で迎えたのか自分でも把握できないまま、紅美子はまた絶頂を迎えた。片脚の内側を雫が何条も垂れ落ちていく。
「も、もうだめ……、もう……」
 熱に浮かされたように、小さくかぶりを振って訴える紅美子に向かって、冷徹な指が更に中を撹拌し続ける。
「ダメだ。ずっと続ける。君がおかしくなるまで。……君が言ったんだろ? 平気だって」
「そんなっ……」また絶頂へ向かって登っていきながら、「……私、何も言ってないっ……」
「僕より、徹くんのほうが気持ちいい。そう言ったさ」
「ううっ……」
 井上の低い声が消えずに、空気の中に留まっているようだった。嵩はもう首元まで迫っている
「と、徹のほうがいい……」また、スカートの中から派手な湿音が聞こえてくる。「……いいに決まってるっ!!」
 叫びを反響させて、紅美子は絶頂を迎えていた。信じられなかった。こんなに立て続けの絶頂が訪れるなど、そしてそれが自分の体で起こるなど想像すらしたことがなかった。しかも相手は徹ではない。浴室に声として「徹のほうがいい」繰り返しつつ、止むこと無く井上の攻めが続いて、紅美子は腰を震わせ何度も絶頂を迎えていた。谷が埋められて絶頂と絶頂の間が繋がっていく。体の重心がかかっている片脚が痺れてきて、コートが緩んで後ろ手が解錠されても、紅美子の手は井上を突き放すのではなく、両方とも壁に付いていた。いつも井上の体に爪をめり込ませているのに、つるりとした浴室の壁は掴まることができなかった。
「自分でオモチャ、押さえろ。指で」
「……っ、そんなの、できないっ」
「やるんだ」
 井上の声はずっと指を動かしていて息が切れ始めているが、相変わらず低く、紅美子の脳髄に染み込んでくる。片手を壁から離し、垂れ落ちているミニ丈の裾から手を中に入れ、指先でショーツの膨らみを押し込んだ。指にもクリトリスにも振動が伝わって、叫び声を上げて尿道から潮が流れ出してしまう。
「スゴいな、見てみろ、床」
 薄々予想はしていたが、それを上回るほど、片足の周辺にはまだシャワーも使っておらず乾いていた床に大きな水滲みが広がっていた。それを見て蕩けた溜息を付くと、ローターを押し付けている指を更に押し込んで指先を動かしてしまう。
「オモチャ、もっと強くしろ」
 内部を探って前後から指と玩具にクリトリスを挟みつけて井上が命じると、躊躇なく紅美子はワンピースの襟に差し込まれていたコントローラのダイヤルに指を添えた。高鳴る鼓動に胸を喘がせてダイヤルを回していく。振動がビーッという音に変わって聞こえるほどにスカートの中から響いてくる。慌ててローターから手を離し、両手を壁に付き直さなければ崩れ落ちそうだった。口を大きく開けても声が出ず、息も吸えない。
「……紅美子。また見たい。見せてくれ」
「……?」
 少ない空気を吸いながら、紅美子は首を少しだけ振り返らせる。だが、背後にしゃがんだ井上の姿は一切見えなかった。
「湯河原温泉でしてくれたじゃないか。同じ風呂の中だ」
「……む、むり、……むりっ。……何、言って……、んの……」
「徹くんにはもう見せてあげた?」
「……」


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