ブバルディア-3
メイクさんが来るのと入れ替わりに雨水は出て行った。
いつものメイクさんで安心し他愛もない話に花が咲く。
「でね、この前カレーを作ったんだけど……」
「そーなんですか、え?それは……」
くるくると動く手先でどんどん変わっていく自分を鏡で見る。
いつものことなんだけどこの時間は慣れない、何だか凄く恥ずかしいのだ。
「そーいえば」
メイクさんが手を止めた。
鏡越しに彼女を見るとポケットから何か包みを出してきた。
「これ、誕生日プレゼント」
はいっと渡されて思わず受け取ってしまう。
「えっ、いいの?」
「うん、そろそろでしょ?」
満面の笑みを浮かべる彼女に感動して目が潤む。
「嬉しい」
開けて開けてと言う彼女の言葉に従って包みを開けると中から白地に青い花柄のハンカチが出てきた。
「わ、綺麗。ありがとう」
「いえいえ。今日の撮影で汗掻くかも知れないからよかったら使って?」
確かに今日は天気がいいから、と妙に納得した。