覚醒-2
「安本君は彼女とかいないの?」
不意に聞かれて慌てる翔太。
「い、いませんよ!!僕なんかに寄って来る女なんていません。」
「そんな事ないよ。出会いなんていつ訪れるか分からないんだよ?だからそれに備えて色々と自分を磨いておく事も大事なんだよ?」
「でもデブだし…」
「だったらダイエットすればいいのよ。急に痩せようとしないで、例えば一年かけて少しずつ痩せてけばいいのよ。もし痩せたら出会いだってくるかも知れないしね。」
他の人間に言われたら気休め言うなと思ってしまうとこだが、何故か奈緒に言われると頑張ってみようかなと言う気になるのが不思議だった。
「ど、努力してみます。」
「うん。出会いに恵まれてもその出会いが必ずしも幸せだって訳じゃないからね…。」
「えっ?」
奈緒がボソッと言った言葉を聞き直す翔太。奈緒はハッとした表情を浮かべ慌てて言った。
「な、何でもないわ…。さ、あと少し頑張ろっ!」
「は、はい…」
翔太は机に戻り仕事を再開した。
(部長は夫婦関係に何か問題でも抱えているのかな…)
翔太はふとそう思った。よく考えれば奈緒は主婦だ。子供がいないにしろ毎晩のように遅く帰り旦那が何も思わない訳がない。奈緒はもしかして早く家には帰りたくないのではないか、そう思った。
(もしかして…)
翔太は甘すぎる事を考えた。しかし現実的に自分と奈緒がどうにかなる事など有り得ない事は分かっ手居る。身の程は知っているつもりだ。奈緒が自分の相手をしてくれるのはオナニー時の妄想の中だけだと自覚している。甘すぎる考えを頭から振り払い仕事を続けた。
(ンフッ…)
奈緒は翔太の背中を見ながら口元を緩めた。奈緒の頭の中は翔太がオナニー時に妄想している奈緒と同じ事を考えていた。奈緒の手は机の下でパンティの中に忍び込み既に湿った割れ目をゆっくりと撫でていたのであった。