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漂泊SOUL セクサロイドの罠
【SF 官能小説】

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森山ナオト、ランカーとの遭遇-4

4 ハンタープログラム

研究室で軽い頭痛だけで直人は目をさました。
「吐き気、めまいもありませんか?」
「ああ、大丈夫だ」
戦士として初めてナノマシンを体内に入れた時は最悪だった。立ち上がることもできず、三日間ほど高熱にうなされた。
白衣の槇野は直人の返事を聞いて記録する。
「バトルアーマー操作のように使い方はあるのか?」
「詳しい説明はプログラムが教えてくれるはずです」
槇野はさらに言った。
「あとは必要があれば、また工場に訪ねてきてください、ただし二年間はプログラム解除には応じません」
直人は執務室で待つ弁護士と契約書を作成した。
「あんた、アンドロイドだったのか」
「元検察官だったんですけど逆恨みで殺されかけまして、脳が死ぬ前にナノマシンに記憶を複製してアンドロイドの体になったんです。正確には純正のアンドロイドではないんですよ」
純正アンドロイドは記憶や感情まで構築されたプログラムで制御されている。
ちなみに、セクサロイドは純正アンドロイドであることが義務づけられている。
人間の頭脳から記憶や感情まで複製して使うとアンドロイドの体に整形したような感覚らしい。
「めったに気づかれないんですけどね、他言無用でお願いします」
「ああ、わかった。いろいろ世話になったな」
「これからも、何かあればよろしく」
俺は工場からタクシーで街に出た。
流刑地に連行されるのではという不安からの解放と、プログラムをダウンロードされて自我崩壊するかもしれない恐怖からも解放されて、頬にふれる風や雑踏のざわめきも感動的である。
「ここが社員寮か、繁華街に以外と近いな」
リガーコーポレーションの社員寮として使われているマンションの入口で監視カメラを見つめると自動ドアが開いた。
エレベーターで七階の部屋に行きカードキーで扉を開けて部屋に入る。
テレビ、ソファー、PC機器、テーブル、食器棚、冷蔵庫、ベット……3LDKの部屋は家具一式が揃っていて、直人はモデルルームのようだと思った。
「……で、お前、誰だよ」
「あなたのサポータープログラムです」
目の前に立っているのは、童顔でにこりと笑っている学生のような女だ。服装はリガーコーポレーションで見た受付嬢と同じ制服を着ている。
「さっき弁護士を分析してアンドロイドだと伝えてきたよな。純正じゃないらしい、アンドロイドと言った
ら傷つくだろう。お前は純正かどうかまでは分析できないのか?」
「ハッカーか、アンドロイドか。金属製の武器を携帯しているかを識別しています」
「これから、お前を欠陥品と呼ぶことにしよう」
弁護士は生き残るためにアンドロイドの身体になったが、ただの道具として生み出されたアンドロイドではない。
その違いがわからないのはどうなんだろう、と直人は思う。識別できるかではない。たとえそれが、偽善であっても、人の心がわかろうとしないやつは欠陥品だろう。
分析できるか、と言ったのは人の気持ちを想像できるのかという皮肉を言っただけである。
「私が欠陥品であるとするならば、それをどう使うかはあなたの自由です」
認めた上で言い返されて、直人は少し苛立った。妙なところだけ人間くさいプログラムだと直人は苦笑しながら「お前、名前はあるのか?」と言った。
「名前はありません」
「たまに霞んで見えるが、ホログラムか?」
「ちがいます。これはあなたが私をイメージした姿です。あなただけにしか見えていません」
「そうか。何で女なんだ?」
「あなたをサポートするために、あなたにはない部分がイメージされたのだと推測されます」
直人はてっきり自分の理想がイメージで出てきたのかと思ったが、ちがうらしいとわかって笑った。
「名前をつけていいか?」
「はい、どうぞ」
直人はアイとサポートプログラムに名前をつけた。
「私はアイ。あなたのサポートプログラム」
「俺の考えが読めるわけじゃないみたいで安心した。監視されているのは、もう留置場だけでこりごりだからな」
直人は目を閉じてソファーに寝そべった。ナノマシンのプログラムをラボで書き換えられたたことで少し疲れていた。
「アイ、俺は少し寝る」
「ナオト、おやすみなさい」
「お前は眠らないのか?」
「あなたのナノマシンがシステムダウンすれば、機能停止します」
「そうか、じゃあな、アイ、おやすみ」
部屋の照明が薄暗くなる。
アイの性能は他のシステムにアクセスして、連動することができる。直人はアイの性能は識別と自分のかわりに記憶してくれること、あとは暇な時に話せるぐらいだと思っていた。
槇野にも、まさかプログラムが人の姿で現れて「おやすみなさい」と直人に会話しながら、日々成長していくとは、想定外のことだった。




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