堕としてやるぜ…-2
殆どの社員が19時まで銀行に残っていたが、本格的な繁忙期を迎える前になるべく早く帰ろうと考え、バタバタと帰って行った。
「じゃあな!」
香川が梨田にそう言った。
「ああ。」
ニコッと笑い耳元で呟く。
「今から優美と遊ぶんだよ♪」
「好きだな、お前も!向井は?」
「恵梨香とみなみと3Pだってさ。」
「楽しみだな。しっかり遊んでやれよ?」
「ああ。」
ニヤリと笑い帰って行った。そして梨田に一声かけて帰って行く行員。気付けば梨田一人になっていた。
(まぁいいや。また奈緒の制服でセンズリでもするか!)
残業したならしたで楽しみがある梨田。すると背後から足音が聞こえた。振り向くと奈緒だった。正直驚いた。明らかに自分に向かって歩いて来るからだ。
(な、何だ…??)
少し動揺する梨田。すると奈緒が話しかけてきた。
「梨田君、仕事終わらないの?」
「あ、はい。今朝のお客さんの融資の件で、盆休みに入る前に書類をまとめなきゃならなくて。」
「そうなんだ。何かお手伝いしようか?」
「えっ?だ、大丈夫ですよ。松上さんも疲れてるだろうから上がってくださいよ。」
何て言えばいいのだろう。奈緒の表情には何でも包み込んでしまいそうな、そんな感じがする。
「疲れてないわよぅ。ほら、いつも私達女子の為にお付き合いで遅くまで残って貰ってるからさ。たまには恩返ししないとね。」
「それはいいんですよ。それに残業するのは他の子のせいであって松上さんのせいじゃないでしょう?」
「彼女らの上司は私だから、私にも責任があるからね。ね、何かする事ある??」
「でも旦那さんとか待ってるんじゃ?」
ニコッと笑った奈緒たが、少し寂しげにも感じた。
「今週、出張でいないの。だから徹夜でも平気よ?」
「そ、そうなんですか…。」
チャンスだと思った。そして今感じさせた寂しげな顔…、付け入るチャンスはあると感じた梨田。もしかしたら今週中…、いや頑張れば今日抱ける…そんな期待が生まれた。
「ね、遠慮なく言って??」
奈緒はもうベテランだ。大抵の仕事はこなせる。何でも任せられる安心感がある。
「じゃあスミマセン、今までの融資額と希望額、融資可能額、評価を打ち込んで貰えますか??」
仕事を頼まれたのが嬉しそうだ。奈緒は素晴らしい笑顔で笑い「うん!」と答えた。
キーボードを打つ音からも仕事の速さを感じた。一人ではだいぶ時間がかかりそうであった仕事も一時間程度で終わった。
「いやー、助かりましたよ!こんな早く終わるなんて!」
「フフフ、お役に立てて何よりです♪」
若い子にはないこの余裕がたまらない。
「ちょっとジュースでも飲みますか?」
「うん。ごちそうさま!」
2人は食堂にある自販機まで行き仕事終わりの一服タイムに入る。