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LADY GUN
【推理 推理小説】

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さよなら大好きな人…-1

 自ら望んだ収監の日々。日々の生活を淡々と送る若菜は孤立していた。受刑者とは言え元刑事だ。多くの受刑者にとっては忌々しき敵の警察だ。誰も若菜に話しかけては来ず、また若菜も会話を持とうともしなかった。
 そんな若菜だが不思議と嫌がらせはされなかった。元刑事ともなれば嫌がらせの一つや二つはあってもおかしくはないが、誰も若菜に嫌がらせをする者はいない。
 刑務所でもテレビは見られる。テレビにより何故若菜が刑務所に入ったのか情報は得ている。若菜が嫌がらせを受けない理由としては一言、強いからだ。男相手に負けない若菜の身体能力はテレビで知っている。だから手を出さない。
 そしてもう一つの理由はみんな口には出さないが、女の敵である極悪レイプ殺人犯を倒した事だ。収監され自分が女である事を捨てたはずの受刑者だが、それは捨てたのではなく心の中にしまっていると言った方が的確だ。女の敵を倒した若菜には何かしら思うものがあった。良くも言わず悪くも言わず、ただ上原若菜という人間の様子を見ているのであった。
 収監されてから若菜に面会があった。母だ。母の麗子が面会にやってきたのだ。若菜は正直会いたくなかった。いや、本当は会いたくて会いたくて仕方なかったが、刑務所という場所で犯罪者である娘の姿を見られたくなかった。しかし謝らなければならない。若菜は悩んだが面会に望む事にした。
 若菜が面会室に入ると既に麗子は椅子に座り優しい微笑みを浮かべていた。
 「お母さん…」
必死で涙を堪える。どんな言葉で麗子に謝ろうかとずっと考えていたが一瞬のうちに全てをなくしてしまた。
 「若菜、みんなに虐められてない??」
麗子の初めての言葉がそれだった。若菜はいまや極悪犯にも打ち勝ち、警察の中でも最強の部類の人間だ。受刑者達も無闇に絡んでこない。そんな若菜に、まるで小学生の子供を心配するような言葉に若菜は母親の愛を全身で感じた。
 「うん…。」
 「本当に?」
 「うん。大丈夫だよ…。」
麗子はホッとしたような表情を浮かべた。
 「若菜は言いたい事も言えないで我慢しちゃうからね。それが心配だったのよ。」
 「私だって大人になったもん。言いたい事ぐらい言えるョ…」
 「どうだかね〜。何かあるとすぐ引き篭もるし。」
 「もう引き篭もらないもん…。」
全国の警察署員から尊敬の念を抱かせている若菜も、母親の前ではまだまだ頼りない娘に過ぎなかった。


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