運命の銃弾-2
「あのシミは何だか分かる?」
若菜は床に視線を向ける。
「さぁな。」
知っていてわざと惚ける田口。構わず若菜は口にする。
「あなたが撃った先輩の血よ…。あの時流れた先輩の血の感触が今でも忘れられないわ…。血は温かかった。でもね、先輩の体はどんどん冷たくなって行った…。擦っても擦っても冷たくなっていく先輩の体…。同じように先輩はお父さんの体を擦り続けたんでしょうね。」
「知った事か!」
「先輩は偉大だったわ。お父さんの意思をしっかりと継いだから。人を憎んではいけないってね。でもやっぱり私は出来損ないだった。だって…こんなにあなたを憎み、そして殺したいんだからね!!」
若菜は突然突進し喉元めがけて飛び蹴りを繰り出した。
「ちっ、この野郎!」
体をもつらせ合いながら床に転がる2人。お互いの銃が床に投げ飛ばされた。
いち早く立ち上がろうとした若菜の足首を掴み転倒させた田口。
「きゃっ!」
田口は若菜に馬乗りになる。
「きゃっ!とか、可愛いなぁ!」
「煩い!!」
顔めがけて殴りかかるが全て交わされた。
「ククク!女は男に下に敷かれるのがお似合いなんだよ!」
田口は若菜の両胸を掴みグニュグニュと揉み出した。
「こ、こんな時まで…。ゲス!!」
若菜の右ストレートが田口の頬にクリーンヒットした。一瞬怯む田口。しかし恐ろしい顔つきで睨みつける。
「調子にのりやがって…!」
激しい平手打ちが若菜の頬に激痛を与える。
「犯してやろうか?今すぐに…。」
田口は若菜の胸元を掴み激しくシャツを引き裂く。
「あっ…。」
パンティとお揃いのピンク色の豹柄のブラジャーに収まった豊満な胸が露出する。
「やっぱいいオッパイしてるぜ!」
この時若菜は本気でレイプの恐怖を感じた。夢の中で何度も田口にレイプされた自分を見てきた。それが現実となろうとしている恐怖は想像以上のだった。
「出し惜しみすんなよ…。」
田口が胸に気を取られた瞬間、若菜は渾身の力を込めて田口の股間に強烈なパンチを食らわせた。
「ああっぐっ…!!」
苦痛に歪む顔を一発殴り、怯んだ隙に田口から体を逃がした。
「こ、この野郎!」
苦痛に顔を歪ませながら鬼の形相で若菜を睨みつける。
「思ったよりフニャチンだったわね。ガッカリよ。」
胸元を何とか隠しながら若菜は言った。
(ヤバかったわ…。やっぱり力は凄いわ…。顔が痛い…。)
田口に食らった平手打ちで頬が痛む。すでに赤みを帯びていた。しかし田口があれだけムキになっていると言う事は田口だって自分の力に恐怖を抱いているとう事だと感じた若菜は田口に自ら襲いかかっていくのであった。