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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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かつて久美子かく語りき-6

「何っ?」
ぎらりと睨むとタキタは両手をひらひらさせ、ムジツを主張した。
「それで?藤川さんは、どう想ってるんですか?」
そう聞かれて、少し考えたが藤川の笑顔しか浮かばなかった。
「アイツは、私らが客だからあんなに優しいのかもしれない。……ワカラン」
タキタはふうんと相槌を打ってから、にんまり笑った。
「何だ?」
私が問い返すと、悪魔タキタのシッポがぴょこっと顔を出す。
「……今度、藤川さんに聞いてみようか?」
「えええ!!?」
な、なんだ、コイツ!
なんでこんなに大胆なんだっ?
私のロウバイをよそに、タキタがしゃべり出す。
「今日の茅野さん、少し寂しそうでした。他人の色恋沙汰に手を出すのはよくないとは思いますが……」
そこまで言うと、彼は浅く息を吐いてからコップの水を一気に飲み干した。
「あ、いや。反対してるわけじゃないぞ?」
ただ、意外だっただけだって。滝田君。
彼は私を見ようとせずに、話を続けた。
「なんだか、二人が疎遠になるのは僕も寂しいんです。僕は茅野さんと笑い合っている、ジュンも好きですから」
そこまで言うと、タキタはがばっと立ち上がった。
「水。……いれてくる」
派手に音を立てて台所に行く彼の背中を見て、私はほんわり笑みを浮かべた。
テレてんだ。
かーわいい。
私の知っている滝田学は、冷静沈着かと思いきや、ミョーなところで崩れてしまう。用意周到かと思いきや、ヘンなところでおおざっぱだ。大胆不敵かと思いきや、ササイなことで二の足を踏んでしまう。
これからも、きっとたくさんのタキタに会えるだろう。その時、私も新しいジブンを彼の前に見せることができるだろうか。
「タキタ」
振り向いた彼を見て、私はにっこり笑った。
「これからも、村井純子をヨロシクな」
彼は初めきょとんとしていたが、ふふっと笑ってこう言った。
「こちらこそ。滝田学を末永くよろしく」


タキタ。
明日はどんな君に会えるのか、楽しみにしてるから。
オマエも覚悟しとけよ!


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