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LADY GUN
【推理 推理小説】

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同じ穴のムジナ-7

 渡辺麻耶の遺体が発見されたのは翌朝の10時頃であった。若菜は既に任務についている時であった。連絡を受け石山と一緒に現場へと向かう。
 「渡辺麻耶…、あいつもこの近くにいたのか…。行方が分からなかったが、まさかこんな近くにいたなんて…。」
 「灯台下暗しですね。湯島と一緒ですね。」
 「湯島に続いて渡辺か…。やっぱ過去に湯島に乱暴された女の仕業かな。」
 「それにしては全て的確に頭を一撃で撃ち抜いてるところを見ると人を殺す事に動揺を見せない冷酷さを感じますよね?女性にそんな事が出来るものでしょうかね。例えばヒットマンを頼んだとか…。」
 「それはあり得るな…」
事件について話しているとやがて現場に着いた。階段を上がり麻耶の部屋に入るとちょうど麻耶の遺体が運び出される所だった。手を合わせる石山と若菜。
 (死人に口なしか…。悪く思わないでね…)
そう心の中で言って部屋を捜索した。
 やがて近辺住人の聞き込みを始めた。若菜は人々の記憶など曖昧なものだとつくづく思った。
 「帽子をかぶった若い男が付近をウロウロしているのを見ました。」
 「不審な白い乗用車が昨日ここにとまってました。」
 「早朝に女性の叫び声らしきものが聞こえました。」
どれも事実を知っている若菜にとっては的外れな物であった。しかし石山はその一つ一つ漏れなくメモしている姿を見ると心が痛む。重要な証言が出てきた時に、いかにそれを真実からかけ離すかが若菜のすべき事なのだ。だがそのような証言は出て来なかった。
 「う〜ん、やはり怪しそうなのは男しか出てこないな。女の影は全く見えてこない。」
 「ですね。でも湯島にしろ渡辺麻耶にしろ素人の犯行には思えませんね。湯島に暴行された親族や恋人…、その中に例えば警察官やそういう訓練を積んだ者とかがいないか調べた方がいいですかね。」
 「例えば加藤綾美の父、元総監とかな…。」
 「一応アリバイだけは調べておきますね。」
捜査的には犯行は男性だという方向へ向き始めている。若菜には好都合だ。自分の目撃情報が出てこないのをひたすら願った。
 一通りの捜査を終えると中央署に戻る若菜と石山。湯島の事件と渡辺麻耶の事件の捜査会議をしているといなぎ市から杏奈と俊介が戻って来た。事件の経過を説明している若菜は最後列に座る石山の隣に座る2人が見えた。
 「以上の事から犯行は男性のものである可能性が高いと考えられます。複数犯か単独犯かはまだ判断できませんが、ある程度銃などの訓練を受けた人間である事は間違いなさそうです。なおかつ2人に恨みを持つ者…、例えば娘を監禁されボロボロにされた親の犯行…。その可能性を考え加藤正剛元総監を調べましたが、ここ3日のアリバイは完璧でした。彼は違います。でも同じようなケースで湯島らを恨んでいる人間はいるでしょう。ですから出来るだけ昔に湯島武史に暴行された女性を探し出しその線を当たるのが重要だと考えます。それと平行して逃亡中の瀬川涼子の行方も追って下さい。」
捜査方針を示した所で捜査会議は終わった。


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