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ちちろむし、恋の道行
【歴史物 官能小説】

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その1 ちちろのむしと出会ひけり-14

 女陰は健気にも小さな口を目一杯に開いて、みみず腫れのある太魔羅を飲み込んでいた。瑚琳坊の先走り液で少 しは滑りがよくなってきたが、お鈴の陰戸は小作りで、強烈な締め付けは彼に奔放な交接を許さなかった。しかし、瑚琳坊は今まで味わったこ とのない襞の圧迫に目を瞠り、亀頭をしごく肉の筒の狭さに、早くも射精感をもよおした。初めて男を受け入れた痛みに顔をしかめるお鈴と、 放出をこらえて歯を食いしばる瑚琳坊。苦悶の形相の二人は、はたから見ると何を好きこのんでそのようなことをしているのかと映っただろう が、お鈴には命の恩人に処女を捧げたという想いがあり、瑚琳坊は食い締める若い女陰の味に痺れていた。

「む、むむ……もういかん」

何十人もの女を逝かせてきた瑚琳坊だったが、お鈴の類い希なる肉壺の心地よさに早くも根負けし、どっと精を 放ってしまった。熱い噴出を感じた女陰はさらにキュッと締まりを強め、瑚琳坊はあたかも数本の指で絞られるようにして子種を放出した。



 翌日、瑚琳坊は久々に自ら手習いを教えることになった。お鈴が閉め切った奥の部屋で伏せっていたからだ。昨 夜、瑚琳坊に三度も精を注ぎ込まれ、破瓜の晩にもかかわらず、みみず腫れの魔羅によって気をやることを覚えたお鈴は、十分眠ったはずなの に、なかなか起きあがることが出来なかった。瑚琳坊はというと、お鈴の小柄だが魅力の凝縮した肉体を堪能して、すっきりとした気分で手習 い子に対峙していた。

「瑚琳坊のおっ師匠さん、女師匠さんはどうしたの?」

不満気な子供らの声に、

「ああ、お鈴は病だ。今日は私が厳しく教えるからそのつもりでな。さあ、早く手習い本の東百官を開いて」

勢いよく答えた。だが、彼等は現金なもので、

「なあんだ、女師匠さんでないなら、おいら帰る」

一人が云い出すと、我も我もと騒ぎ始めた。戸口に寄りかかっていた見物人の親父たちも、「何やってんだ、早く お鈴さんを出しやがれ」

と、火に油を注いで騒ぎが一層大きくなった。その時である、襖がすーっと開き、身だしなみを整えたお鈴が姿を 現した。

「…………」

皆が一斉に見とれ、喧噪が鎮まった。あいかわらずの清楚な姿だったが、今日のお鈴には匂い立つような色香が あった。昨夜、瑚琳坊によって[女]となった彼女である。自分だけは気づいていないようだったが、子 供でも何やら分かる艶っぽさが滲み出ていたのだ。

「皆様、申し訳ございません」

お鈴は膝をつくと、ひとしきり皆を見回し、形よく畳に手を付いた。

「あいにくと今日は体調が勝れず、手習いを見ることがかないません。明日は大丈夫かと思いますゆえ、どうかこ ちらの瑚琳坊の講義を静かに聞いて下さいませんでしょうか」

淑やかな彼女の言葉を、皆はポカンとした表情で聞いていた。やや間を置いて、お鈴の目の前の腕白そうな手習い 子が甲高く言った。

「病気じゃあしょうがねえや。今日は男のおっ師匠さんで勘弁してやらあ」

お鈴がにっこり微笑んでその子を頭を撫でてやると、真っ赤になった腕白坊主はしばし陶然となっていたが、その 小さな鼻から血が一筋垂れるのを見て、周りに爆笑の渦が広がった……。


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