復讐-9
周りを見渡す若菜。アパートを見つけ慌てて走る。電柱の影に人影を見つけた。
「中島さん!」
「上原さん!なんかヤバい事になりそうですね。」
「どの部屋!?」
「二階の右の角です!」
「分かった!ねぇ、これで終わりじゃないからね?これからも瀬川涼子を見張り続けて貰うわ。」
「いいですけど…」
「うん。ま、今から私に殺されなければだけど、ね?」
ウィンクして部屋に急ぐ。
「世界で一番嬉しくないウィンクだったな…。こわっ!!」
寒気がした。体を手で擦りながら若菜が階段を上がっていく姿を見ていた。
若菜はゆっくりと音を立てないように階段を慎重に登る。そして忍び足で渡辺麻耶の部屋の前に立つ。
(殺す相手が違うわよ、瀬川涼子さん。あなたには片付けてもらわなきゃいけない奴らがいるの…)
鋭い若菜の目が渡辺麻耶の部屋のドアに突き刺さっていた。