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LADY GUN
【推理 推理小説】

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婦警のプライド-5

 迫り来る拳に瞬きすらする事なく片手で掌に収めてしまった。
 「女は弱いなぁ。どんなに鍛えてもこんなもんか…。」
若菜の拳を掴むとギュッと握りしめる。若菜の腕は前にも後にも動かない。
 「は、放して…!」
左手で田口の手首を掴む。若菜の掌に田口の筋肉の感触が伝わる。
 「さてと、どうやって料理してやろうかな…」
田口はゆっくりと覆面を脱いだ。静香を失った日以来の田口の顔は悪意に満ち溢れた微笑と冷酷さが際立っている。ゾクッとするような顔に恐怖心が生まれた。
 (ヤバい…)
とっさに危機を感じた。次の瞬間、首を掴まれそのまま持ち上げられてしまう。
 「ンググ…!」
片手で軽々と持ち上げられてしまう若菜。息が出来ない。
 「軽い…軽いなぁ!お前は体重の半分以上がオッパイなんだな!ハハハ!脳みその殆どがセックスの事しか考えてないんだろうし。体も頭も尻も軽いただのヤリマンだ。ククク!」
 「だ…れ…が…ヤリ…マン…よ!」
声を絞り出す。しかし顔は苦痛に満ちていた。
 「出張行けばオナニーばかりしてるし、挙げ句の果てには命を守ってくれた先輩の男を平気で奪うし、まさにヤリマンじゃないか?神経疑うぜ。」
 「そんな単純な事じゃ…ない!」
 「オマンコが寂しいだけだろうが?お前、レイプAV見て興奮してたんだろ?」
 「過去の話よ!AVなんて作り物じゃない…!今はレイプが憎い…!レイプなんてする男はみんなぶっ殺してやりたいぐらいよ!」
 「ククク!現実のレイプはAVと違って残忍で残酷なもので決して許されるものじゃないってか?それは女から見れば、な。でもな、男から見れば現実のレイプはAVなんかに比べ物にならないほど興奮するんだよ。残酷?違うな。狩りに負けた弱者の使命さ。女は男に狩りの獲物に過ぎないんだよ!」
神経を逆撫でする田口が憎らしくてしかたない。
 「ぺっ!!」
田口の顔に唾をかけた。
 「ゲス!!」
罵声を浴びせる若菜だが、田口は全く動揺しなかった。しかも顔についた若菜の唾を指ですくい口に運ぶ。
 「美人は唾まで美味いんだなぁ。ヘヘヘ、もうすぐ直で味あわせてもらうよ。舌をお前の口の中に入れてネチョネチョしたお前の涎をたっぷりと、な。」
異常な行動に気持ち悪くなる。
 「気持ち悪い男ね…」
そう呟いた若菜。すると背後に人の気配を感じた。
 「僕を気持ち悪いと言ったのか?」
背後から現れた男は湯島武史だった。湯島武史は自分で、気持ち悪いと言われると頭に血が登っていたと供述していた。あの穏やかな表情は消え、田口と相変わらぬぐらいの陰湿な笑みを浮かべて若菜を見つめていた。


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