投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

LADY GUN
【推理 推理小説】

LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 332 LADY  GUN 334 LADY  GUNの最後へ

湯島武史-4

 湯島は全面的に若菜に協力するつもりだった。
 「はい。矢沢にどこまで話を聞いていますか?」
 「恐らく彼が知り得る殆どは…。」
 「そうですか。」
 「湯島さんの事を供述されて怒りを覚えてますか?」
 「…、刑事さん、矢沢が知り得る事を殆ど話した意味は分かりますか?」
 「いえ…」
 「矢沢は取り調べが進めば必ず僕の名前を言わなきゃならない事になるのは覚悟していたんでしょうね。当然僕のもとに捜査の手が伸びる。矢沢はなるべく僕が供述しなきゃいけない事を代わりに自分がしたんですよ。僕に昔を思い出させたくない…、喋らせてはいけない、とね。僕を苦しめたくなかったんですよ。そんな奴ですよ、矢沢は。」
 「…」
そこまで考えていたのかは不明だが、湯島は矢沢を恨んでいない事だけは分かった。
 「僕は何度も警察に犯人が田口である事を伝えようかと思ってました。そんな時に僕の心理状態を見抜いたかのように田口がここに来て、僕を脅して口止めしたんです。でもそれは僕が警察に通報しなくても近い内に自らその名前を警察に知らせる事になるから通報するなという意味だったんだと思います。ある意味僕を守る為。僕が通報すれば昔の事件の犯人が自分だとバレる可能性も高まる。そうしたら絵里と築き上げてきたこの幸せは終わりです。だから田口は僕を脅すふりをして実は庇ってくれたんだと思います。皆川静香さんの命を奪ってしまったのも高田道彦に対する恩義、愛情のふかさからでしょう。人の命を奪っておいてこんな言い方は不謹慎かもしれません。しかし田口は恩に深い人間なんです。その恩の深さが大きすぎる故の凶悪極まりない復讐…そうなんだと思います。どちらにしろ田口にレイプを教えてしまったのは僕だ。あいつをあんな人間にしてしまったのは紛れもない僕だ。俺なんだ…!」
苦しそうに机をバンと叩きつけた湯島だった。


LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 332 LADY  GUN 334 LADY  GUNの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前