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LADY GUN
【推理 推理小説】

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亮子という女。-1

 朝から石山と杏奈が亮子を取り調べる。のらりくらりと話をはぐらかす亮子は警察をなめきった態度を続けている。
 「名前は?」
 「忘れたわ。」
 「亮子は本名か?」
 「本名は…クリスティーンよ?私はイギリスの王女様なの!アハハ!」
 「ふざけるな!」
机を叩く石山。そんな石山の顔に顔を寄せ悪態をつく。
 「オジサン、シブいわね。今夜抱いてくれない?」
 「おい、警察をなめるなよ!?」
 「別に舐めてないわよ。私が舐めたいのはオジサンのあ・そ・こ…」
 「こ、この女…!」
完全に挑発に乗る。
 「あなた、このオジサンといつも一緒にいるけど、ヤッてんの?アハッ!」
若菜を挑発してくる。若菜は溜め息をつき苦笑いしながら何も言わず亮子を見ていた。
 「そっちのオバサンのほうがタイプ?いやらしそうだもんね、あのオバサン。」
 「…」
杏奈の顔が引きつる。
 「あ、オバサン、皺が引きつってるよ?」
 「あ、あなたねぇ!」
イラっとする杏奈。ふざけた態度の亮子に苛々する。わざと挑発して怒らせて楽しんでいるのを知っているから若菜は相手にしなかった。若菜はスッと取調室を出た。
 一時間過ぎた頃、若菜が取調室に入ってきた。若菜をチラッと見る亮子。若菜を見る時だけは表情が違う。
 「金田亮子、21歳。新潟県出身。高校の時にアイドルを目指して上京し家を出る。以来家族とは音信不通。そんな感じかな?クリスティーン王女様。」
 「…」
少し驚いた顔をしたがすぐに若菜を睨みつける。
 「そのぐらい、調べればすぐ分かるでしょ?別に驚かないわよ。」
若菜はフッと笑う。
 「アイドルを目指して上京するもオーディションには受からずホームレス状態。野宿や神待ちをしながら何とか寝泊まりを繰り返しているうちに田口と出会う…。神待ちの相手に田口が来た。そして売春の傍ら麻薬密売の話を持ちかけられた。食べ物にも苦労していたあなたは目の前の大金に目がくらみ仕事を引き受ける…。」
若菜の言葉に動揺がありありと分かる亮子。
 「誰からその話を…?」
亮子はそれを誰にも話した事はない。知っているのは田口だけだ。
 「まさか田口さんが捕まった…?い、いえ、そんな簡単に捕まるような人じゃない。」
若菜は余裕の笑みを浮かべた。
 「私の想像よ。当たったみたいね。フフフ、あなたの人生って単純ね。すぐ予想出来る。」
 「な、何ですって…!?」
悔しさが顔に滲む亮子。警察を弄んでいた亮子だが、若菜には弄ばれた。
 「でも尊敬してるのよ、あなたを。」
 「何でよ…?」
 「だって田口にレイプされずに仲間として迎え入れられたんですもの。よほど田口のタイプだったのかしら?」
 「知らないわよ!」
 「それともよほどセックスが巧かったのかしら?羨ましいわ。今度教えて貰おうかな。」
 「まるで私が顔とセックスにしか取り柄がない女だって言ってるように聞こえるけど?」
 「違うの?」
 「ムカつく女ね…。先輩を身代わりに死なせたくせして。」
これには石山と杏奈も立ち上がり大声を出す。
 「この野郎!!」
しかし亮子は2人には目もくれなかった。若菜を見てニヤリとしていた。心の傷を踏みにじられた若菜がどうでるか楽しみにしている様子だった。
 「警察官にとって殉職は仕事のうちなのよ?私だって誰かを守る為なら死ねるわ?ま、間違ってもクリスティーン王女の為には死なないけどね?アハハ!」
 「…」
自分の挑発が若菜には通用しない事に苛々した様子の亮子は舌を鳴らしてそっぽを向いた。


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