投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

鳳仙花
【その他 官能小説】

鳳仙花の最初へ 鳳仙花 2 鳳仙花 4 鳳仙花の最後へ

鳳仙花-3

(3)


 性的高まりが鈍い音を立てるように蠢き始めていた。目を閉じると葉月の裸体が廻った。写真や映像ではない生身の体。服の中に隠されていた女の子の体。不意の出現に小さな混乱が起こっていた。彼女に対して卑猥な気持ちを持っていなかっただけに衝撃は響いた。

 いったん燃え始めた劣情の火は延焼していく。階下に下りて行った葉月を想像して脈動する肉を握り、擦った。
(全裸になっている……)
白い肌が迫るように浮かぶ。尻を被った思いのほか小さなパンツが細い体と不似合いで却って艶めかしい。そしてオッパイ。……
(ああ……)
果てそうになって動きを止めた。

 しばらくして階段を踏みしめる足音がした。部屋に入り、布団を敷く物音。
(いまどんな格好をしてるのだろう……)
そう思っただけで体が熱くなった。
(葉月を見たい……女の子を見たい……)
夜寝る時、どんなものを着て寝るのだろう。


(そうだ、部屋は蒸し暑い)
理由を見つけた。
せっかく風呂にはいってもすぐ汗びっしょりになってしまう。
 襖に近づくと声をかけずに開けた。
葉月は驚いた顔はしなかった。気配を感じていたのかもしれない。

「暑いだろう、この部屋」
葉月は頷いて、ちょっと頬を弛めた。
「エアコンがないんだ。ここ開けとけばこっちの空気がいくよ」
「ありがとう……」
「開けとく?」
「うん……」
彼女は薄いピンクのパジャマを着ていた。

 エアコンを強めにしてぼくも布団を敷いた。
「明日、六時に出るって。五時には起きないと」
「うん」
電気を消すと葉月の部屋も暗くなった。
「おやすみなさい」
「おやすみ……」
エアコンの風の音だけが聴こえる。
 ナツメ球のぼんやりとした灯りの中に彼女の寝姿が見え、目が慣れてくると顔立ちもそれとなくわかる。目が開いてこっちを見ていた。
「風がきて気持ちいい」
彼女の声が独り言みたいに聞こえた。
何か話したかったが、訊くことが浮かんでこない。

「明日行くとこって、どんなとこ?」
潜めた声になっていた。
「どこもすごく広い。富士山が目の前で」
「わあ、楽しみ」
寝返りを打った葉月が、
「今日はありがとう。いろいろ……」
ぼくは返事をせず、間を置いてから言った。
「ここ開けて寝たこと、お母さんには言わないほうがいいと思うよ」
葉月も少し間を開けて、
「うん……」
小さな声で答えた。
 葉月の動く気配がしばらく続いた。ぼくはなかなか寝付けなかった。


 翌日、気が付くとぼくの目は葉月を追っていた。悟られぬよう、視線をあちこちに飛ばしつつ、彼女の動く体を捉えていた。牛乳を飲むか細い喉、唇、大きな前歯、そして胸の膨らみは昨夜の乳房が重なってことさら惹きつけられた。Tシャツを揺らし、小さな突起が見えるのは下着を着けていないからだろう。

 ポニーに乗った彼女の姿態を眺めながら、ぼくはその体に触れることを考えていた。馬に跨って開いた股間。
(アソコが擦れているのだろうか……)
何もかもが裸に結びついていく。
 肉欲は耐える限界に達していた。あの裸がぼくを狂わせてしまっていた。


(触ろう……)
ふと思いつき、その考えはすぐに本気になっていった。
(この子なら拒まない……)
裸を見た時も平気だった。たぶん、触っても何も言わないだろう。
(人の家に泊ってるんだ……泊めてあげてるんだ……)
いつの間にか母のような小意地の悪い身勝手な考えを手繰り寄せていた。
 昂奮の震えを心に感じながら、ささくれた不快感も同時にぼくの中にあった。


 
 
 


  


鳳仙花の最初へ 鳳仙花 2 鳳仙花 4 鳳仙花の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前