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ずぶ濡れのキス
【教師 官能小説】

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ずぶ濡れのキス-2



 狭い玄関で制服のネクタイをほどいた将太は、そのまま玄関脇のバスルームに通された。
「そのままだと風邪ひくわ。そこにバスタオルがあるから、身体を拭いて」

 彩友美は奥の部屋に入り、暖房のスイッチを入れた。そして将太に抱きすくめられて濡れた服を脱ぎ、クリーム色のスウェットに着替えた。

「先生ー……」
 バスルームから情けない将太の声がした。彩友美は慌ててドアを開けた。
 バスタオルを腰に巻いただけの将太が照れたように顔を赤らめて立っていた。
「着るものがない……」

 彩友美はふっと笑って、将太の手を引いた。「部屋にいらっしゃい。暖房で暖かくしてるから。でも、しばらくそのままでいい? 服は乾燥機に入れて乾かすから」

 将太の手には、ケネスから渡された小箱が握りしめられていた。

 彩友美は将太が着ていた服を乾燥機に入れ、スイッチを入れた。彼女が部屋に戻ると、将太は部屋の隅の床に正座をして縮こまっていた。

「寒くない?」
「だ、大丈夫。でも、先生こそ具合が悪いんじゃ……」
「雨が降ると時々頭痛がね。でも大丈夫よ。将太君が来てくれたから、すっかり良くなったみたい」
「で、でも、学校休むほどなんでしょ?」
「サボり、かな。将太君といっしょ」彩友美はウィンクをしてみせた。「待ってて、今コーヒー淹れてあげるから」
 彩友美はキッチンで湯を湧かし始めた。

 部屋に戻った彩友美は将太の前に正座をして相対した。
 将太はまた彼女に向かって土下座をした。「ごめんなさい、先生、俺を許して……」

 彩友美は静かに言った。「嬉しい、将太君……」

 将太は頭を上げることなく言った。「俺、やっと気づいた。二つのこと」
「やっと?」
 将太は顔を上げた。
「俺の想いと、先生の……気持ち」
「待ってたよ、将太君」彩友美は穏やかに微笑んだ。「本当にやっと気づいてくれたね」

 火に掛けられていたやかんがにわかに騒ぎ始めた。
 彩友美は立ち上がり、キッチンに入った。そしてコーヒーをドリップして、二つのカップに注ぎ、部屋に戻った。

 小さな丸いテーブルにコーヒーカップを載せた彩友美は、将太に言った。「こっちにおいでよ」
 将太はその言葉に素直に従った。

 将太はカップに手を掛けかけて、動きを止めた。
「先生、」
「何?」

「俺、せ、先生のことが好き。本当は……すっごく好き……」そして赤くなってうつむいた。

「知ってたよ」
「せ、先生は俺のこと……」

「大好きになってた。知らないうちに」

 将太が顔を上げた時、彩友美はにこにこ笑っていた。今までに将太が見たことのない柔らかな笑顔だった。
 彩友美は自分をひどく申し訳なさそうに見つめている将太の瞳が美しく澄んで、少し潤んでいるのを見た時、急に胸に熱いものがこみ上げてきて、思わず何度も瞬きをした。

「で、でも、あんなに乱暴しちゃって……」
「貴男の気持ちは乱暴じゃなかったから」
「え?」
「やってることと思ってることが違ってた。そうでしょ?」
「そう……かな」
「嬉しかったよ。私、貴男に慕われてることが。身体は苦しかったけどね」
「ごめんなさい……」
「でなきゃ、毎週貴男につき合ったりしなかった」

「もう乱暴はしない。しないから、あの……」
 彩友美はふっと笑った。「しないから、なに?」
 将太は手を恐る恐る開いて、握りしめていた小箱を彩友美に見せた。
「将太君たら……」彩友美は赤くなって将太の顔を見た。
「俺、先生を大切にする。気持ちも身体も。だから……」
 彩友美は、将太に顔を近づけ、何も言わずそっと肩に手を置いて、唇を重ね合わせた。


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