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ずぶ濡れのキス
【教師 官能小説】

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音楽室での出来事-1

 引き裂かれた黒いストッキング。ロープで縛られた両手首。言葉を封じる猿ぐつわ……。

 生徒用の机にカラダを倒し、尻を後ろに突き出した若い女教師。

「ほら、先生、じっとしてなよ、すぐ終わるって」

 その男子生徒は制服のズボンと下着を下げた格好で、いきり立った凶器を背後から彼女のショーツに擦りつけ始めた。

「うううっ!」教師は涙をこぼしながら呻いた。

「変な声出すと、誰かに気づかれるじゃん」

 生徒はにやにや笑いながら激しく腰を前後に動かし始めた。

 教師は苦痛に顔をゆがませ、声を殺して全身を震わせた。

「イ、イく……」生徒が彼女の腰を両手で鷲づかみにしてカラダを硬直させた。

 どびゅびゅっ!

 女教師のショーツ越しの尻とブラウスをめくり上げられた背中に、生徒のカラダから噴き上がった熱い液が何度も迸り、その白い肌をどろどろに汚し続けた。



 初秋の少しひんやりとした風が、駐車場に散り落ちたプラタナスの葉を弄びながら吹き過ぎた。
 すずかけ町の老舗スイーツ店『Simpson's Chocolate House』の正面玄関に二人の男が立っていた。

「悪いな、おやっさん。忙しいのに来てもろうて」

 頭を掻きながら申し訳なさそうに言っているのは、この店の主、名ショコラティエのケネス・シンプソン(38)。
「なんのなんの。いつも贔屓にしてもらってっから」
 もう一人の白髪頭の老人が威勢良く言った。彼は玄関脇にしゃがみ、三和土の角にメジャーを当て直していた。
 その老職人、志賀建蔵(69)は腰を伸ばした。「明日、モルタルとタイル持って来て修繕するよ。開店前にやっちまうか。7時頃大丈夫かい? ケネス」
「そんな朝早くに? もう結構寒いで」
「構わんよ」建蔵は日焼けした、しわの深く刻まれた顔をほころばせた。「仕事は苦にならん」


 ケネスは建蔵を店の中に招き入れ、喫茶スペースの椅子に座らせた。建蔵は首に巻いていたタオルを取り、出されたコーヒーカップを持ち上げ、一口飲んだあと、遠慮なく大きなため息をついた。
「ここのコーヒーはうまいな。いつ飲んでも」
「おおきに」ケネスも彼に向かい合って座った。

 二口目のコーヒーを飲んで建蔵がカップをソーサーに戻した時、ケネスが低い声で少し躊躇いがちに言った。
「将太はちゃんと学校行っとるんか?」
 老職人はちらりとケネスを見て、すぐにうつむいた。「何とかな……」そして小さなため息をついた。
「来年、卒業やろ? 就職……」
「学校行くだけで精一杯ってとこじゃからな。先のことなんぞ、考えてねえよ。やつは……」
「『志賀工務店』の跡継ぎにせえへんのか?」
「もう、将太にその話するのはやめちまったよ。」
「そやけど、手先も器用で、モノ作るのん、得意なんやろ?」
「素質はあると思うんだがな。やつがその気にならねえと、こればっかりはな……」
 その老職人は静かにコーヒーを口に運んだ。

「おやっさんがうちの裏口改造してくれた時、将太も一緒に来てたやろ? まだ小学校上がる前やったかな。あん時将太が板の端切れで作ってたちっちゃな車、今でも置いてあるで。ほら」
 ケネスは店の商品棚の一画を指さした。子ども向けのチョコレート菓子が並べられているコーナーに、それはディスプレイの一つとして置かれていた。

 建蔵は、照れたように微笑んだ。「ケネス、あんたにゃ感謝してるよ。将太を気遣ってくれる人は少ねえから。ケンちゃんや真雪嬢ちゃんにも将太のやつ、気に掛けてもらってんだろ? 学校で」
「健太郎も真雪も将太とは違うクラスやけどな。ちっちゃい頃におやっさんと一緒に来てた時から、将太とは何や仲良うしてるみたいやで」
「感謝してるよ、ケネス」建蔵はケネスの目を見て数回瞬きをした。「ヤツのオヤジが死んで、母親が男作って出て行ってから、わし一人じゃ手に余るようになっちまった。あんたら親子がヤツを救ってくれてるようなもんだよ」
「おやっさんにとっちゃ、たった一人の肉親やないか。今が踏ん張り所やで」
「そうだな……」
「わいも将太にできるだけのことはしてやるよってにな。困ったことがあったら、いつでも言うてや」
「すまん……すまんな、ケネス」
 建蔵は涙ぐんでケネスの手を取った。


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