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ずぶ濡れのキス
【教師 官能小説】

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門出-2



 ――それから一年後。

 シンプソン家の離れの別宅では、二階手すりの改修工事が行われていた。建蔵と数人の職人に混じって、作業服姿の将太も外で角材のカンナがけをやっていた。
「将太のヤツ、なかなかサマになってきたやないか、おやっさん」
「まだまだだよ、ケネス」建蔵はタバコをくゆらせながら、それでも目を細めて孫の働く姿を眺めていた。

「どや、将太の働き」ケネスが近くにいた若い職人に声を掛けた。
「ああ、ケニーさん。さすがに頭領の孫だけあって、筋はいいっすよ。将太。言われたこと以上の仕事をしやがるし。俺たちにも刺激になりまさ」
「そうなんやな」ケネスも満足そうに微笑んだ。
「それに、あいつ高校出てすぐ自動車運転免許一発で取りやがって、今じゃばんばん軽トラ走らせてくれるんす。人手が足りない時なんか大助かりでさ」
「すでに一人前風情やな」

「ところで、先生のこと、ちゃんと可愛がっとるんやろな、おやっさん」
 建蔵はぼりぼりと頭を掻いた。「最初はこっちが遠慮して、なかなか扱いづらかったんだがな、今はすっかりうちの家族みたいになっとるよ」
「って、家族やないか。立派な」
「そうなんだがよ」建蔵は困ったように笑った。

「しかし、良かったやないか。聞いたで。先生の両親からOKが出たんやろ? 籍を入れること」
「ああ、わしもほっとしとる」
「将太の働きがええからや。何や、聞いたところによると、夏に先生の実家の修繕、将太が請け合うたんやって?」
「修繕って言っても、板塀の掛け替えだけだがな」
「将太一人でやったんか?」
「わしも手伝うつもりだったが、ヤツはわしに一切手を出させんかったよ」
「そうか、勝負かけたんやな、将太のヤツ。で、そないな将太見て、両親も気に入ってくれたんやな」
「その上庭木の植え替えまでやってやがるんだ」
「ほんまに? おやっさん、そんなことも伝授してたんかいな、将太に」
「いつか、なんぞの役に立つかも知れん、と思ってな。だが、ヤツは自分でも勉強してたみたいでな、こっそり」
「やるな、将太」
「自分で本を買うなんて、学生ン時にゃ、一度もやったことなかったくせによ」
「ええ職人になりそうやな。立派におやっさんの跡継ぎになっとるやないか」

 建蔵は空を仰いで、長いため息をついた。「いつの間にか一端(いっぱし)の腕になってやがった」
「そこまでやられたら先生の両親も反対できんわな」
「逆にえらく気に入られちまってよ、それからちょくちょくあっちに呼ばれて夕飯ごちそうになってやがるんだ」

 ケネスはしみじみと言った。「ほんま、良かったな、おやっさん。」
 建蔵は声を潜めておかしそうに言った。「だけどよ、ケネス、今でも彩友美さん、将太の嫁なのか母親なのか区別がつかん」
「わっはっは! ほんまに? いやあ、おもろいで、なかなか」ケネスは大笑いした。

「何の話、してる? おっちゃん」将太がタオルで額の汗を拭きながら近づいてきた。
「将太、ええ人、嫁にもろたな」ケネスはそう言いながら、その若い職人の卵の頭を乱暴に撫でた。

 将太が晴れ晴れとした表情で言った。「そうそう、おっちゃん、帰りにチョコ、買ってくから」


2013,10,14(2014,1,15) 脱稿

※本作品の著作権はS.Simpsonにあります。無断での転載、転用、複製を固く禁止します。
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