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ずぶ濡れのキス
【教師 官能小説】

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目覚めの朝-1

 明くる木曜日の朝。店の前の植え込みの雑草を抜いていたケネスは、どんよりと曇った空を見上げて呟いた。「降りそうやな……ん?」
 ケネスは、通りの歩道を自転車を押しながらとぼとぼと歩く男子高校生に目をやった。
「将太!」ケネスはその少年に声を掛けた。将太は足を止め、ケネスの顔を見た。
「どないした、具合でも悪いんか? 学校の帰りの方向やないか」
「今日はサボり」
 ケネスは将太に駆け寄り、その顔をじっと見つめた。将太の視線は定まらず、落ち着かないように揺れ動いた。
「寄っていけへんか? 将太」ケネスはにっこりと笑ってその男子高校生の手を取った。


「ごめん、ケニーおっちゃん」
「気にせんでもええ」ケネスは店内の喫茶スペースのテーブルに将太と向かい合って座った。
 マユミが銀色のトレイに二つのカップを載せて運んできた。「はい。淹れたてでおいしいよ。飲んで、将ちゃん」
「すいません……」

 将太はカップを手に取ったが、なかなかそれを口に運べないでいた。
「何や、話したいことがぎょうさんあるっちゅう顔してるで、将太」
「うん……」

 将太の手はコーヒーのカップを持ち上げたまま止まっていた。

「飲むか、置くか、どっちかにしたらどやねん」ケネスは呆れたように言った。
 将太はコーヒーを一口飲んだ後、カップをソーサーに戻した。
「俺、どうしたらいいか、わからなくなってきた」
「何をや?」
「何もかも」
 ケネスもコーヒーを一口飲んだ。「もがいとる、っちゅうことやな」

 しばらくの沈黙の後、将太は唇を噛みしめてケネスの顔を見た。「じいちゃんに……」
 ケネスは黙って将太の目を見た。
「いや……」将太は再び目を伏せた。

「たった一人の孫やし、志賀のおやっさんにとってはおまえは宝モンや」
「じいちゃんは……全然悪くない」
「誰か悪いやつがおるんか? 恨んどるやつが」
「あの女っ!」将太はいきなり拳でテーブルを乱暴に叩いた。「俺を捨てた、あの女が全部悪いんだ!」

 それは将太が高一の時、外に男を作って家を出て行った母親のことだった。

「それでも偉いやないか、将太。グレもせんと、ここまでようがんばって来たやないか」
「復讐してやった……」将太はケネスを上目遣いに睨み付けながら言った。
「復讐?」
「あの女に似てる担任を犯してやった」
「なんやと?」

 将太は口元に怪しげな笑みを浮かべて言った。「毎週水曜日、俺と担任の鷲尾は音楽室でやってるんだぜ、おっちゃん」
「お、おまえ、学校でそないなこと……」
「あいつも拒まないし、結構楽しんでるみたいでさ」
「楽しんでる、って、ほんまか?」
「ああ。昨日もあいつ、びしょびしょに濡らしながら腰振ってヨがってた。好きモンなんだ。俺も遠慮なく腹の上に出してやったさ」

 ケネスは眉を寄せて、そのいきなり饒舌になった将太を見た。
「その先生が、おまえを捨てた母親に似とるっちゅうんか?」
「そうさ。だから俺は復讐してんだ」
「毎週やっとるんか? その音楽室で」
「そ。進路相談っていうことになってる」
「やった後とか前とかに実際相談に乗ってくれるんか?」
「夏に初めて音楽室に連れ込まれた時は、真面目に相談してた。でも今はそんなこと全然なし。やったら終わり」

 ケネスは、そうふてぶてしい態度で言い放つ将太の目の奥に、隠しきれていない不安の色を見過ごさなかった。
「将太、おまえ、本当に言いたいこと、別にあるやろ」

 将太は一瞬肩をビクン、と震わせて突然黙り込んだ。


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