シェアガールズ-6
「んんん…」
優美の目覚めは激しい頭痛とともに訪れた。ゆっくりと目を開けると天井がぼやけて見える。優美は目を擦り再び目を開ける。
「あれ…、私…」
全く記憶がない。すると胸に何か感触を感じた。何となく手で探ってみると温もりを感じた。
「えっ…?」
胸元に視線を向けると自分のではない手が胸に当てられている事に気づく。
「な…!?」
一気に正気に戻る優美。隣を見ると男性が寝ている事に気づく。
「な、梨田さん…!?」
どうして梨田がいるのか全く分からなかった。そして思考能力が回復する。優美はようやく状況が理解できた。梨田とベッドの上で裸で一緒に寝ている状況を…。
「き、きゃっ…!」
飛び起きる優美。すると梨田が目を覚ました。
「あ、川来…おはよう…」
優美はベッドから飛び降り床にしゃがみこんで体を丸め怯えていた。
「川来…、昨夜は良かったよ。」
心臓が止まりそうな一言だった。
「ど、どうして梨田さんと…」
梨田は寝起きでけだるそうに頭をかきながら言った。
「どうしてって、川来がさそっきたんじゃないか…。送ってくって言ったら俺の部屋に泊まるって、さ。」
「わ、私が…?う、嘘…」
「マジだって。全然覚えてないのか?部屋に入るなりキスしてきて俺をベッドに押し倒して来たんじゃないか。」
「…」
「えっ?マジで覚えてないのか?」
「…」
全く記憶がない。
「参ったな…。とにかくあっという間に上に乗られて初めてしまったんだよ、川来が。朝好きにやらせてやるから今は自分の好きにさせろって言ってさ。」
「わ、私が…?う、嘘ですよね…?」
「マジだって。」
「…」
急に怖くなる優美。しかし状況から考えて梨田と一つになった事は間違いなさそうだ。優美はどうしていいか分からなくなる。頭の中は混乱していた。
すると梨田が起き上がり優美に歩み寄る。後退りして怯える優美。
「もうこんな時間だ。とにかく出社しなきゃ。ほら、着替えて!」
「は、はい…。一つだけ教えてくれますか…?」
「ああ。」
「津田さんと朝倉さんは…?」
「津田と朝倉は香川と向井と飲み直すと言ってどこかへ行ったよ。でも相当いいふんいきだったからホテル言ったんじゃないかな。」
「…、そ、そうなんですか…。」
優美は服を着て梨田に言われるがまま急いで車に乗り銀行へ向かった。殆ど無言のまま到着し車を降り中へと入って行った。