戦場-1
１階に降りると
「なんだこれ……」
地獄絵図だった。
そこら中で頭を壁に打ち付けてる人や何かを振り回している奴、椅子に座っている人はほとんど舌を噛みちぎっていた。
床は血だらけで、足が滑ってしまう。
ロビーの一角だけ綺麗な部分があり、
包帯を巻いた影山が背中を見せて座っていた。
「やめろーかげやまー！」と叫ぶと、
影山はゆっくり振り向き笑う
床の血で滑り倒れながら影山に向かった。
「さっき一瞬、俺を止めただろ？ もう一度やってみろ〜」と近くの男が話した
「ふざけるなー」
後ろからおもいっきり影山の顔面を殴る。
「ぶばあ！」
床に崩れ落ちた。
「何してんだてめー」と子供が怒る
「こんなことやめさせてやる！」
「ふざけんな、能力者同士、能力で戦えよ！」血だらけのオヤジが叫んだ
「馬鹿なこと言うな」
椅子を飛び越え右手の拳が影山の顔にめり込む。
「ぐわああ！！」
うつ伏せから立ち上がろうとする影山の鼻血が床に垂れててる。
同時に周りの人達は我に返り惨状に気づき騒ぎ出した。
影山も頭にダメージを受けるとスイッチが切れるのか？
腰を抜かしてたオヤジが真顔になって殴ってきたけど避けられた。
すかさず影山を蹴り上げる。
オヤジは我に返り「ひー」とか言いながら走り去った
影山は口を押さえて真っ赤な目で僕を睨んだ。
その後ろから沢山の人達が僕にめがけて走りだしす。
「させるかー」
蹴ろうとしたら血で滑ってしまい、外れてしまった。
「ヤバイ」
最初の一人をかわすと全員倒れた。
「！？」
どうやら中の一人が影山にぶつかったらしい。
「今しか無い、来いスイッチ、来い」
不安定なスイッチを無理やりオンにする。
影山が止まった。
すぐに侵入して舌を噛みちぎった。
！！
噛みちぎれない。
何かを口に入れてる
プン……また切れた。
周りの人達が一斉に僕を見る。
「うわぁ」
椅子を駆け上がり
前からくる人をなぎ倒して、
人の囲いを出て、周りをまわって影山に向かう
「うおおおおおお」
走りながら手を振り上げて横顔を殴った。
「ごおお！」
影山は唸りながら倒れ、すかさず上にのり
ガードしている手を、殴りつけた。
「もう、ゆるさないぞおおお」
夢中で殴っていたけど、拳は顔にはあたっていない事に気づいた時、
後ろを掴まれ引き釣り降ろされる。
二人の男が僕を引きずり輪になっている人の中に連れて行く
「ヤバイ、スイッチ出ろ出ろ出ろ！」
中心に運ばれた時、無表情な人々と目が合いゾッとした
「スイッチ出てくれよ！」
言ったとたん、一瞬見えたスイッチを押した。
止まった。
全員同じ形で手を振り上げている。
「あぶなかった……」
僕は仰向けのまま後ずさりして人の輪から出た。
少しすると我に返った人達が騒ぎだした。
仰向けに倒れている影山のそばに行く。
……今にもスイッチが切れそうだ。
操って連れて行きたいけど、スイッチに集中できないので直接運び出すしかない。
僕は騒然とした病院内から影山を立たせて肩を担いで連れ出した。
外でも沢山の人が飛び降りていた。
「どこに連れて行けばいいんだ……」
とりあえず通りに出てタクシーを探す。
「いつ切れてもおかしくない、タクシーどこだ？」
病院の曲がり角を見ているとオレンジのタクシーが運良く曲がってきた
僕は手を伸ばしタクシーを止める。
人のいない所に行こう
「おい、幹夫どこ行くんだ？」後ろから声が聞こえた。
振り向くと篠原先輩が立っていた
「あ、あの……」
ブン……切れた。
影山を見ると目が合う。
「は！」
前を見ると篠原先輩がまっすぐ突っ込んできた。
篠原先輩のタックルとタクシーに挟まれ、
意識が遠のいた。