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命令チップ04
【SF その他小説】

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戦場-2


気が付くと後手に縛られ椅子に座らされていた。

「生きているのか……」

前に大柄な人が二人立っている。

ここは、どうやら工場のようだ。

広いスペースの中心に僕はいた。

すると工場のスピーカーから高く嫌な音がなり、影山の声が聞こえる。

「起きたか?」

上にある明るい部屋で影山が手をあげた。

頭の中にスイッチが見えない、完全に消えたようだ。

「……」

「土壇場で形勢逆転だな」

「……」

「どうやらお前の能力は俺のとは違うらしいな」

「だったらどうするんだ」

「そいつらを操って俺を倒しに来いよ」と言ってきた

二人の男は僕を見下ろしニヤついた。

影山以外は操れない。

「僕が操れるのはあんただけだ、それに、それにもうスイッチは消えたよ」

「なんだそれ、つかえんな、そんな事でよく俺と同じだと言えたもんだな」

部屋の電気が消えて、

高笑いしながら、影山が出てきた。

「不思議だったんだ、お前は俺しか操っていない、周りに沢山人がいるのに、変だろ?」

ポケットに手を入れて階段を降りてくる。

「一人しか操れないってダメだろ、役立たずだな」

階段を降りてこちらに歩いて来る

「操る事ができるのは結局、お前が着けた奴だけだったというわけだな、まったく……」

影山は目の前に来て僕を見下ろすと

「恐れるに足らんな……」

勝ち誇っている。

どうしよう……はったりかますか……

「今、その二人を動かして、あんたを殴ったらどうする?」

精一杯強がって見せたが、逆に嬉しそうな顔をしてる。

「ぷっはっは、いいよ、してみろよ」

オーバーに手を振り顔を出した。

「っく!」

(っくそー操れるわけがない! 完全に見透かされている)

「なんだ?やらないのか? 遠慮無く殴ってくれよ、
 もし、やらないならこっちから行くけどいいよな?」

隣の男が僕の後ろにまわり、

「!?」

後ろから僕の口を両手で塞いだ。

息ができない。

「手だからわずかに空気が吸えるだろ? お前の力をださないと、ゆっくりだけど死ぬよ」

僅かな隙間から息ができるけど苦しい。

(スイッチが出る気配すらない……少しでも出れば影山止められるのに……)

もがいても男の手は外れない。

「ああそうだ、お前が死んだら、次は店の人達が一斉に首吊りするかもね」

ケラケラ高笑いしてる。

「んーんー!!」

みんな殺される、

ここで勝たなきゃならないのに!

苦しい、

苦しいと思うと更に苦しい。

影山は嬉しそうな目で僕を見てる。

視界が黒くなってきた。

酸素が足りない

暴れても外れない

ダメかー?

だめなのか?

ここで終わるのか?

みんな、ごめん

ごめんよ、みんな!


その時、遠くの方で声が聞こえた

「信号を押せ少年!」

誰かが叫んでる

「信号を押すんじゃ!」

じゃ? でも女の声だ。

「だれだ?」影山が叫び、

横の男が走って行く。

また声が響いた

「友情の証を押せーー!!」

友情の証?

美優なのか?

信号機のストラップはズボンにかけてある。

後手に縛られていたのでストラップをつかんだ。

ガチャの景品なのに……

そう思いながらも、僕は夢中でストラップのボタンを押した。

(押したぞ、押したぞ、これがどうしたんだ?)

と思った瞬間、口を塞いでいた手が緩み息ができた

「すううううはああああああ」


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