投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

LADY GUN
【推理 推理小説】

LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 253 LADY  GUN 255 LADY  GUNの最後へ

悪魔の微笑-3

 そんな時、いきなり部屋をノックする音が聞こえた。
 「だ、誰だ…?」
もしかして亮子にはめられたのではないかと思った。怖いオニーサンの登場かと疑った。しかしならば怖いオニーサンだろうが何だろうがぶっ殺してやると意気込んだ。矢沢はフルチンのままドアに向かう。
 「何でしょうか?こっちはいいとこなんだけど?」
不機嫌そうに言い表にいる男を睨んだ。しかし顔を見た瞬間心臓がドキッとした。なぜなら見覚えがある覆面…、そう、矢沢が武史とレイプを繰り返していた頃に使用していた覆面に瓜二つだったからだ。
 「だ、誰だおまえ…?」
無気味だ。警戒心を強める。その覆面の口元が微妙に緩んだ。
 「フフフ、ご無沙汰です。」
 「あっ??だ、誰だ…?」
覆面男はゆっくりと覆面を剥いで行く。そして顔が露わになった瞬間、矢沢は誰だか分からなかった。しかしゆっくりとフラッシュバックしてくる記憶。そして…。
 「久々ですね、アニキ!」
自分をアニキと呼ぶ男…。そう…、
 「と、徹か!?」
目の前にいるのは、そう、田口徹だった。突然の訪問にびっくりして腰が抜けそうだった。
 「取り敢えず中に入れよ!」
 「はい。」
田口を部屋に招き入れた。
 「お前、大丈夫なのかよ?こんな所に堂々と…。」
田口がどんな状況に置かれているかは矢沢も理解している。深夜とは言えフラッと何気に現れた田口に矢沢の方が心配してしまう。
 「この間、偶然見かけたんで挨拶しなきゃと思って。」
 「そんな普通に街を歩いてんのか?」
 「細心の注意は払ってますけどね。」
すっかり大人びた田口を懐かしむ。
 「しかしあの徹がなぁ、こんなにデカくなってなぁ!あと、だいぶワルになっちまってな!」
笑い飛ばす矢沢。
 「でもアニキは変わらないっすね。フルチンで堂々としてるし。」
 「あ、ああ、そうだった。全裸だったわ…。」
慌てて服を着る。
 「あんまり長居するつもりはありません。ただ少しでもアニキと喋りたかっただけなんです。俺もう行きます。それに俺と関わりがあると警察にバレたら大変ですしね。小さい頃、アニキには優しくしてもらいましたよね?その礼もしないまま今まで来てしまったんで。」
武史に拾われてから矢沢には随分可愛がって貰った。足を洗った矢沢に礼もまともに言えないまま別れてしまい、ずっと心残りだった。
 「お前、それを伝えに?」
 「はい。」
 「…お前、ニュースとかで取り上げられている程ワルじゃないな。昔のままだ!」
 「ハハハ!ワルですよ。人も殺したし薬物も売りさばいてる。それにまだまだレイプもしてますしね。」
 「ま、俺も昔はレイプを繰り返し脅しもしてたし大して変わんねーか。」
 「アニキ…、いや、矢沢さんはどうか今の幸せを大切にして下さい。俺は警察とのゲームを楽しむ事に生きがいを見つけてしまったんでゲームオーバーになるまで止められそうもないんで。」
そんな田口をジッと見て神妙な顔をしながら言った。
 「徹、捕まるなよ?とことん逃げてやれ。」
徹は凶悪犯らしからぬ屈託のない笑みを浮かべて頷いた。
 「その女はお世話になったお礼です。一晩たっぷりと可愛がってやって下さい。」
 「え?この子と知り合いなの?」
 「ええ。フフフ、矢沢さん、お幸せに。」
そう言って部屋を出て行った田口。矢沢がすぐ追いかけたが、もうすでに姿は見あたらなかった。


LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 253 LADY  GUN 255 LADY  GUNの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前