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LADY GUN
【推理 推理小説】

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LADY GUNを手にする日-8

 しかし一番上達したのは銃の腕前であった。基本から一からしっかりと覚え直した若菜。狙った場所を一寸違わぬほどに的確に打ち抜けるようになった。
 そんな若菜に石山は気になる事がある。
 「お前、撃ち抜くのはたいてい頭だな…。」
少し怖い気がした。
 「実際そういう場面に出くわしたら、私はきっと躊躇ってしまうと思うんです。だから頭を撃たなきゃならない時の為に慣れなきゃって思ってなるべく頭を狙ってるんです。」
 「そうか。ならいい。」
殺人の為に練習しているなら今すぐ銃を取り上げるつもりだった。しかし他の部分の標的にも的確に弾を当てる若菜に心配のし過ぎだと安心する。
 「いよいよ明日だな。もはやお前はどんな刑事よりも優秀だろう。普段通りにやれば一位間違いないよ。」
 「ありがとうございます。石山さんのおかげです。石山さんに奥様がいなかったら惚れてるところでした♪」
 「ハハハ、バ〜カ。」
 「フフっ。」
するべき事は全てやった。若菜に不安は全くなかった。自分でもベストの状態で競技会を迎えられる事が嬉しかった。

 全国から敏腕の警察官達が集まった全国警察官技能検定競技大会。初めはいい女がいるなとしか若菜を見ていなかった警察官達だが、若菜の能力を目の当たりにして目つきが変わる。若菜は完璧だった。全ての技能検定を完璧にこなした。
 「第6回全国警察官技能検定競技大会優勝者は…千城県中央署所属、上原若菜!」
 「はい。」
見た目からは信じられない結果に警察官達の視線が集まる。そんな中、威風堂々と壇上へ上がる若菜。賞状をもらいスピーチを行う。
 「第1回大会の優勝者は私の先輩…恩師である皆川静香刑事でした。」
その名前にハッとする警察官が大勢いた。あの事件の上原若菜か…、そう気づく警察官達。
 「私は皆川静香さんを目標にやってきたし、今でもそうです。私は皆川静香さんを尊敬しています。みなさんも忘れてはいないでしょう。あの事件を…。あの事件のせいで全国的に女性の警察官の殆どが辞めてしまいました。今では以前の10分の1ぐらいしか残っていません。悲しいです。だから私は頑張って女性警察官の地位を向上させたいんです。日本の女性警察官はカッコいいな、日本の女性警察官は男性にも負けないほど強いな、日本の女性警察官は強く優しいな…、そう女性から憧れられるように尽力していく所存でございます。辞めて行った多くの女性警察官が、再び犯罪者と戦い街を守りたいという使命を胸に呼び起こしてくれる事を信じて、私は未来へ進んで行きたいと思います。警察官だって女の子。お洒落もしたいし恋愛もしたい。でも警察手帳を持ったら全てをかけて世の中の犯罪から弱き人を守る…、そんな女性警察官に私がなってお手本になりたいんです。女性だからこそ出来る事だってたくさんあります。私は女性警察官としての誇りを胸にどんな困難にも立ち向かっていきます。また沢山の女性警察官と一緒に街を守る日が来るまで、私は走り続けます。」
そう言って一度会場を見渡した。そして深呼吸して表情を引き締めるとこう言った。
 「そして私は…絶対田口徹を許さない。この手で捕まえてみせる。捕まえてみせます。ありがとうございました。」
若菜のスピーチに静まり返った会場。しかし誰かが拍手を始めると割れんばかりの拍手が巻き起こる。頭を深々と下げて壇上から降りた若菜だった。


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