和州記 -風邪御用心--4 「…病人だぞ、わたしは」 「良い運動して汗かいたやろ?明日には治ってる」 「…」 これ以上何も言わないのは、実際先刻よりも気分が大分良いからだった。 釈然としない竜胆は、むっと顔を膨れさせる。 それを見やり、一紺は顔を顰めて竜胆から顔を背けた。 「お前が悪いんやぞ」 素っ気無く、それだけ言う一紺。 その素っ気無さの裏は、しかしこんな感情で一杯だったようだ。 (…くそ、可愛すぎやねん!)