更なる陽子の告白-2
「で、でも、星司の方はそうじゃなかった。あたしの想いが強くなるに従って、あたしを避けるようになった」
「それって…」
「そう、当然よね、星司にはあたしの垣根を越えた異常な想いがストレートに伝わるんだから…」
優子はどう答えていいかわからなかった。
「あ、あたしね。自分が怖いの…」
陽子の目から涙が溢れてきた。
「で、でも、好きという感情は、どうしようもないじゃないですか」
普段は陽気な陽子の涙に、優子は慌ててフォローした。
「違う違う!そんなことじゃないのよっ!」
陽子は激しく首を振って優子の言葉を否定した。
「えっ?」
「あたしが怖いのは、そんな事じゃない。悠子が居なくなった事に対してのことなの」
「どういう意味ですか?」
「悠子が居なくなってとても悲しかった。立ち直れないくらい毎日泣いた。でもね…」
陽子は再び顔を伏せた。そして嗚咽交じりに涙をボロボロと流しながら、心の闇を曝け出した。
「ううっ、で、でもね、あたしは心の奥では、その事を喜んでるんじゃないかって…。星司があたしのところに戻ってきて嬉しいんじゃないかって…」
「陽子さん…」
「うう、泣き疲れた後に、ふとその考えが浮かんで。い、一度そう考えたら、そればかり、うううっ」
「そ、そんな…」
いつも陽気な陽子の心の闇を聞いて、優子はただ驚くしか無かった。
「わあああん、ゆ、優子ちゃん、せ、星司に気づかれたらどうしよう、あたし怖いよおお」
溜まりに溜まった心の闇を激白した陽子は、戸惑う優子に抱きつくと、その胸に顔を埋めて子供のように泣きだした。
優子はどうしていいかわからなかったが、抱きつかれるままにソファに体を横たえると、取りあえず陽子の背に手を廻して、優しく、そしてギュっと抱きしめた。
しかし陽子にはそれだけでよかった。自分の闇を知って尚も抱きしめてくれる優子がありがたかった。優子の溢れ出る母性が陽子の心を優しく癒した。
そして優子自身も、そうすることによって、悠子に起きたショッキングな話で傷ついた自身の心を癒していた。
優子には、優子自身にも気づいてない全て包んで癒す大きな母性が備わっていた。
優子は陽子が泣くままに任せた。