ダビング-8
うなじにキスをしながら尻が丸々出るまでストッキングを下ろした。田倉が何か囁くと奈津子は拗ねるように首を振った。奈津子の腕を後ろ手につかんで屈んだ。田倉が片手で尻たぶを広げたのを見て沼田は息を吸い込んだ。奈津子は木にすがりついている。
「ケツの中、見てやがる」
顔を近づけて覗き込んでから狙いを定めるようにして、そこにあごを入れていった。奈津子のうわずった声が聞こえるようだ。
「ど、どこなめてるんだよ……」
奈津子は口を開けて大きく息をして仰向くような仕草を見せるが、おおよそは木を抱いてジッとしている。田倉はときどき顔をあげ周囲を警戒していた。そのつどカメラはブレるが、二人の姿はちゃんと映像に納めている。
「やるなぁ石橋ぃ」
またその言葉を口にした。
尻に埋めた顔を左右に振っている。つま先に立ちの奈津子が嫌がって尻を振っているようにも見える。警戒のため時々顔をあげるが、服のうえから胸をまさぐる手は止めない。
「思うがまま、やってやがる……」
立ち上がった田倉は奈津子を自分の方に向かせた。戸惑ったような様子を見せる奈津子に何か囁き、腰を密着させていった。田倉は自分の股間に入れた手をもぞもぞと動かしている。
反対側に回った田倉達の姿を常にカメラがとらえているわけではない。田倉の警戒心に同期して画面は揺れる。石橋はそれ以上進めなかったのだろう。
衝撃を受けたような感じで顔をあげ口を開け、田倉にしがみついた。撮影のポジションは完全ではないが、何をしたのかは一目瞭然だった。
「始めやがった!」
沼田の声は興奮していた。
田倉は腰を密着させたまま、下から上へと押し込むように持ち上げる。奈津子の体がせり上がる。腰と背を抱いていた田倉の両手が下がり尻をつかんだ。奈津子の体が宙に浮くほど強く引き寄せて、フラダンスのように腰を捻り始めた。
「田倉の野郎、佐伯の女房にやりたい放題じゃねえか」
田倉は周囲に気を配りながら性交を続けた。奈津子はされるがままであった。
「本当にとんでもねえぞこのビデオ。石橋を甘く見ない方がいいかもな。俺がまだ会社にパソコン返していないことも知ってるし」
暗闇でも撮影できるビデオカメラを購入し執念で追いかけ、とうとうこんなものをビデオに収めた。その石橋を沼田が初めて評価した瞬間であった。画面では田倉が動きを止め、やや惚けた顔を見せた。
「なにっ……」
沼田は絶句した。
奈津子の頭の天辺にキスをして、左右を確認しながら強く抱きしめた。そのたびにピクピクと腰を浮かすような仕草を見せる。
「だ、出した、出しやがったぞ!」
思わず叫んでしまい、慌てて口を押えた。が、目は画面に釘付けだ。隣を気にしている場合ではない。沼田もふーふー言いながら、風船のような腹の上に放出した。
「ああ、すげぇ量」
キスを交わしたあと、背広の内ポケットからティシューを取り出し、素早く奈津子の股間に手を入れた。続いて自分のモノをぬぐってから、ズボンのジッパーを引き上げた。
「でけえ……」
一瞬見えたのだ。
田倉はしゃがみ込んでもう一度、木にもたれかかってぐったりしている奈津子の股間をぬぐい始めた。
「コンドーム使ってねえ……」
自分のはき出したものがシーツを汚すのも忘れ、画面を食い入るように見つめる。
「あいつ、中に出しやがった」
自分の萎れたペニスを見つめる。
「これより、全然でけえ」
どっと疲れが押し寄せた。
「間違いねえ、ホテルでも全部中出しだ。何て恐ろしいヤツ……」