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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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ダビング-5

 石橋の家に強引にあがり込んで、なだめすかして何とかDVDにダビングさせたはよいが、自分の家にプレーヤーがないことに気づいてうろたえた。
「ノートパソコン持ってますでしょ、会社の古いやつ。それで見られますから」
 騒ぎ始めた沼田を石橋がなだめる。アパートに向かう途中で沼田が買った安物のウィスキーと乾き物を飲み食いしながら説明した。
「ねえ石橋君、本当に田倉と佐伯君の奥さんが、ナニしているところが映っているのかい?」
「あー、残念です。すみません、すみません」
 石橋はぺこぺこ頭を下げながら、柿の種を口に放り込んでいる。
「ちょっと見せてくれないかな。だめなの?」
 ぴょんと顔をあげ、柿の種を噛む音をぽりぽりと聞かせ「だめです」と答える。
「ほら、心優しい君がわたしのためにコピーしてくれているのだから、どんな感じかと思ってね、ちょっとだけ」と猫撫で声で言ってみるが、再び「だめです」と手を上げて言った。理由は分からないが石橋は頑なに拒んだ。
「ちゃんとダビングできているかな?」
 画面も確認せずにダビングしていたことが不安だった。モニターの電源すら入っていなかった。沼田の頭の中にあるメカトロニクスの知識をいくら紡いでも、この状態でダビングされているとは思えなかった。
「音も出ていないよね? 大丈夫なのかい?」
 しかも音も出さずにちゃんと音声が入るのだろうか。そのことを聞くと、「このわたしがするんだから、大丈夫に決まっているでしょう。疑うのなら止めますけど。でも進藤さん、あいつとあれだから、大丈夫じゃないんだ!」と、わけの分からない返答が返ってきた。
「あ、そうだ、飲み代は全部わたしが払っておいたからね。よく飲んだからね、石橋君は。でもぜーんぶわたしが払ったから大丈夫だよ」
 へそを曲げられるのはよくない。一応、べんちゃらを言っておく。
「ごちそうさまでした」
 石橋は背筋を伸ばした。だが目はとろんとしている。
「平気だよ。石橋君のためなら、わたしは何でもするからね。結構高かったけど、全然気にしなくていいよ。君に喜んでもらえるなら、お金なんか平気だよ、高くても」
「今度は、自分がおごります!」
 頭を揺らし、警察官のように敬礼をしながらそう言った。
「冗談じゃないよ。君の飲み代を出すのはわたしの仕事じゃないか」
 気が変わり「ダビングやめます」などと言いだすといけないので、石橋への恩を再確認させながら、あれやこれやと世話を焼いた。
 とうとう石橋は完全な泥酔状態となった。そうなるようわざと濃くした水割りを石橋に飲ませたからだ。ダビングが完了するともう用はない。突っ伏したまま眠ってしまった石橋をそのままにして、そそくさと帰り支度を始めた。玄関で靴を履いたが、振り向いて石橋を一瞥した。靴のままあがり込み、わざと床に靴の跡をつけ、乾き物と飲みかけの水割りを足で蹴散らしてから出て行った。


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