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同級生 石崎佑香
【制服 官能小説】

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迷麗-1


この日佑香は弟敬人が活躍するであろう試合の応援にO県営体育館をひとり訪れていた。

「柔道の大会?」
「・・・ん〜、ごめんパス」
友人はすまなそうな顔をして佑香の誘いを断る。

「ちょっと私そう言うのは・・・」
「なんか・・・、汗臭そう?」
「それより佑香、買い物行かない?」
何人かの友人に声を掛けるが、答えは異口同音であった。

高校に入学して間もない事もあり、弟が参加する試合である事を伏せた上での勧誘であったが結局ひとり観戦に向かう事になる。

文科系の佑香にとっても「柔道」と言う物は縁遠い存在であったが、高校受験を控えた弟が最後に参加する大会である。
是非とも友人たちを連れ立って、華やかな雰囲気で弟を応援してあげたかった。

体育館に着くと概ね想像通りの光景が目に飛び込んでくる。
少年たちの野太い声が館内にこだまする。

「やはり、ちょっと場違いだったかな?」
フレアのミニで可憐な少女がひとり館内を移動する様は、ある意味異常な光景であった。
佑香とすれ違う少年の多くがその美しさに心を奪われ、振り返りその姿を目で追ってしまう。

広い館内であったがすぐに弟の姿を確認出来る。
それは佑香同様弟敬人の端麗な容姿のせいもあったが、柔道に勤しむ少年の中でも数少ないその髪型であった。
敬人の在学する中学校では特に髪型に関して厳しく律する校則も無く、それは柔道部においても同様のはずであった。
しかし現実には所属する部員たちは全て坊主刈りである。
唯一、石崎敬人を除いては・・・

まるで佑香の到着を待っていたが如く、弟敬人の試合が始まろうとしていた。

「ごめんね、敬人」
姉は心中にて、そう弟に詫びる。
本来なら数人の友人を連れ立ち、弟の最後の雄姿を応援したかったのだ。
もしもこれがサッカーや野球の試合だったら、友人たちは応じてくれたのであろう。
そう思うとなおさら佑香は、敬人に対しすまなく思うのである。

「きゃーっ、敬人」
「石崎君、頑張って」
明らかにこの場に似つかわしく無い、黄色い歓声が館内の一角から弟に向けられている。
その異様さに引率の教員たちがすぐに少女たちに注意を促す。

「敬人のクラスメイト?」
もちろん同じ中学の制服姿の少女も居たが、違う制服を着た少女も複数居る。
すぐに自身の心配が杞憂であった事を、佑香は理解する事となる。
十数人の少女たちが弟応援している。
それも同校は元より違う中学の少女たちまで居るのだ。

「頑張って、敬人」
少女たちの様に大きな声を上げて応援する事は出来ないが、佑香はそっと弟を見守る様に視線を送る。

県大会準決勝と言う事もあり周囲に人垣が出来る程で、何より「石崎敬人」自身がその容姿以上に注目されている試合でもあった。
人垣に中には県外の柔道有名校のスカウトじみた教師まで数人居た。

「佑香ちゃん・・・?」
しかしその群衆の中から弟は、愛しい姉の姿をすぐに見つけ出す。

「来てくれたんだ・・・」
姉の応援に敬人の心に嬉しさがこみ上げ全身に力が漲る。
しかしすぐに複雑な心境に敬人の心が揺れる。

「なんでそんな短いスカートを履いてこんなところに・・・」
完全無欠の優等生美少女である姉のそんな抜けたところも魅力の一部であったが、この場合は敬人に取ってそれは大きくマイナス方向に作用する。

「技有」
館内に失望にも似たどよめきが起こる。
試合草々、姉に気を取られた敬人はもろ手刈りの奇襲を浴び更に抑え込まれる。
このまま20秒が過ぎれば「合わせ技で一本」となってしまう。

幸い「一本負け」こそ免れるも、試合は相手が優勢のまま終了を迎える。

「すいません」
敗戦後、敬人は引率教師と仲間たちにそう口にし深々と頭を下げる。
しかしその心は晴れやかであった。
これで残りの時間を勉強に集中できる。
変にこのまま優勝して全国大会なんて冗談では無い。
これ以上貴重な時間を浪費させられては堪らない。
姉と同じ高校に入学する為にも、これから遅れを取り戻さなくてはいけない。
敬人の心に柔道への執着は全く無かった。

「敬人?」
表面にこそ出しはしなかったが、弟敬人のその晴れやかな心中に姉佑香は気が付いていた。
敗戦してしまった敬人にいつの間にか佑香は歩み寄っていた。

「ちょっ・・・、何よアレ?」
敬人の取り巻きと思われる少女たちから声が漏れ、その周りから一部からも先程とは違った意味のどよめきが起きる。
それほど石崎姉弟の容姿は人目を惹いた。
敗戦した弟を気遣う姉の言葉と視線、ほんの数十秒のやり取り。

汗を流す晴れやかな弟の横顔に、少なからず佑香は「ときめき」を感じてしまう。
頑張っている姿は美しい、それはそうでない者すら「美しく」感じさせる。
「美しい」者が「美しく」演じれば、それはなおさら引き立つ。

もしもこの「美しい」少年が「弟」でなければ・・・
そんな不純な想いが一瞬佑香の脳裏を過る。

   ★★★次回更新は1月24日前後予定です★★★


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