神とモンスター-12
翌日、泰明のもとを訪れた田口。
「レイプの神様と背信の女神様はもう動きを封じたのか?」
「ええ。神はもう力を失いましたよ。俺が十字架に貼り付けてやりました。女神様は…たっぷりと愛してやったんで、小さな時からの姿に愛情を感じている上に愛おしさも与えてやったんでもう平気ですよ。もはや親のような気持ちで俺を見ている事でしょうね。きっと彼女はいなくなる…。警察官として持っている正義感と、警察に背信している自分にたまらなくなりどこかへ消えるはずですからね。」
林檎をかじりながらそう言った。
「神にはむかったか…フフフ。」
「俺はモンスターですからね。でも守るべきものが出来た時点で俺の勝ちは決まってましたよ。俺には守るべきものがありませんからね。」
「フフフ、おまえはもしかしたら道彦よりも優秀かもな?」
「いや、アニキを追い越す事は一生無理ですよ。俺は小さな頃からアニキの背中を見て育ってきましたからね。俺の目の前には常にアニキの背中があるんです。」
「そうか。道彦も喜んでいる事だろうよ。そう言えば全都道府県の美人警察官は集まったのか?」
「ええ。今頃俺の仲間達が素行の悪い濡猫ちゃん達に躾をしている頃だと思いますよ?」
泰明は煙草を吸いながらニヤリと笑った。
「残るは2人か。」
食べかけの林檎をゴミ箱に捨てた田口。煙草に火をつける。
「皆川静香の前に極上の獲物を狩りにいかなきゃです。」
「フフフ。」
「フフっ…」
狙いは決まっていた。
この日から渡辺麻耶が突然姿をくらます事になった。行方は誰も知らなかった。
皆川静香以外の重要な獲物…、それを獲得した瞬間、事件は大きく動き出すのであった。