蜜月3-4
下半身をぶつけるたび豊満な尻が波打つ。つかの間、通話中であることを忘れてしまい、はっとするがケータイを手に取ることはしない。
泡立つ体液を肛門にさんざん塗りたくってやる。彼女は甘い嬌声をあげるようになっていた。
「どうにかなってしまいそう」
会話が途絶えたので、通話を切ったと思っているようだ。
「本当に、中に出していいのですか?」
田倉の息もあがっている。彼女も苦しげな呼吸を漏らしていた。
「はい、大丈夫ですから……田倉さん、わたし、もうッ」
「わたしも、もうすぐですから」
射精をイメージしたのだろうか。田倉の言葉に彼女の下半身がぶるっぶるっと震えた。主婦である彼女は夫以外の男に膣内に射精されることをどう思っているのだろう? 聞くのが怖いくらいだ。
「ああッ、本当に、もうッ」
彼女は限界を訴えてきた。彼女をオーガズムまで導くのは無上の悦びだ。むき卵のような尻肉をわしづかみにして、両の親指で肛門を押し広げ、ずっとその部分と結合部から目を離さなかった。
リズミカルに腰を動かしながらケータイをつかんだ。最後はペニス以外触れさせず、粘膜のみで彼女とつながっていた。恐らくだらしない顔のままケータイを耳に当て保留を解除した。
「もしもし、すみませんでした……あの、今日、遅くなるん、ですか?……ッ……」――言いながら田倉は緊張を解きはなった。
びゅっと尿管に痛みが走ったが、それ以上の鋭い快感にかき消された。鼻の奥にきなくさいにおいまで感じた。これほど勢いのある射精の経験は記憶になかった。自然と腹筋が収縮する。下唇が震えている。八分ほど入れたペニスを彼女の粘膜が段階を置き、ギュッと締め付けた。肛門に指先を差し込んでみると、彼女の体の中でペニスが脈打っているのが分かる。
――ああ、すごい出ている……。
『ええ? ああ、家内ですね、どうでしょうか? もしかしたら遅くなるかもしれないですねぇ、まあ、役員会をしているので仕方がないです』
佐伯の声が不意に聞こえ「……そうですか」――と早口で答える。佐伯の声を聞きながら射精はまだ続いていた。今、大量の精液が彼女の膣を満たしている。いつもより射精時間が長い。彼女もそう感じているにちがいない。田倉が話す声が聞こえたので、彼女は声を出さないよう顔をシーツに押し当てていた。彼女の尻がびくびくと震えている。泡立った体液が肛門を濡らしていた。
ヘッドボードに組み込まれたデジタル時計に目をやり、まだ時間はたっぷりあることを確認した。
発作が終わり脳が覚醒したあと、田倉のことを心配して電話をくれた佐伯に対して、やましい気持ちに苛まれた。恩を仇で返すような行為に罪の意識を感じた。
そのとき自分でも射精は終わったと思っていたが、二、三回鋭い快感が下半身に走った。この若さを誇りたかった。良心の呵責などたちまち消え去り、素早くケータイを耳から離し、まだ結合している部分に近づけ、数回ピストンを繰り返してからゆっくりと腰を引いた。亀頭が抜けた音も入ったはずだ。すぐにケータイを耳に当てた。呼吸を整えるのに苦労する。つくづく恐ろしい男だと思う。
『ははは、水仕事大変ですね。お疲れの様子なので、これで失礼します』
支えとなっていたペニスが抜けたので、彼女の体が崩れ落ちた。
「ええ、さすがに少し疲れました。今日は本当にありがとう」
相手の返事も聞かずに田倉の方から通話を切った。
ケータイを放り投げ腰をぶつけたせいで赤みを帯びた尻を広げると、膣から精液があふれ出した。ティーシューケースに手を伸ばす。笑みを抑えることができない。