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LADY GUN
【推理 推理小説】

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性奴隷-11

 後ろを振り返っても何も見えない。誰かが追いかけてくるのか来ないかが分からない事が逆に恐怖だった。どんなに息が切れても、どんなに足がもつれそうになっても足を止める訳にはいかない。聖子はひたすら走り続けた。
 やがてやっと舗装されている道路に出た。しかしまだまだ山の中腹辺りのようだ。聖子は立ち止まらずに走り続けた。
 「あっ…!」
遠くから車のライトらしき光が見えた。どうやらこちらに向かって来るようだ。山の下から向かってくる。しかし覆面男の仲間かも知れない。聖子は道路脇の木の陰に隠れた。
 車は聖子からだいぶ先に停車した。そのまま暫く動かなかった。聖子は身を隠しながらその車へと寄って行った。
 近づくと赤い光が見えた。どうやら運転手は一服しているようだった。ソーッと近づきその運転手を見ると若い男性のようだった。
 (覆面をしてない!!)
聖子に希望が見えた。助かりたい一心で全裸である事などどうでもいい事に思えた。聖子は走り出す。
 「助けて下さい!!」
男性は突然の声に驚いた。
 「えっ!?うわっ!!」
聖子は男性の腕にしがみつく。
 「私、中央署の婦警なんです!誘拐されて監禁されてて逃げて来たんです!どうか助けて下さい!!」
必死に訴える聖子。
 「今テレビで騒いでる事件ですか!?」
騒いでいるかどうか聖子には分からなかったがとっさに答えた。
 「そうです!犯人が追いかけてくるかも知れない!お願いです!車に乗せて山から下ろして!!」
 「わ、わかりました!今すぐ通報したいけど、ここは電波が入らないんです!だからとりあえず電波の通じる所まで行きましょう!さ、乗って!」
 「ありがとうございます!」
聖子はよたよたしながら助手席に乗った。男性は車を走らせた。
 (助かった…)
これでやっと地獄の生活から抜け出せる…、聖子はようやく安らぎを感じた。
 「こ、これ…」
男性がジャケットを手渡した。
 「ありがとうございます。」
聖子はジャケットで体を覆い隠した。
 「大丈夫ですか?」
 「はい、何とか…」
気遣ってくれ留男性が嬉しかった。車はどんどん山を下りた。
 「前にある山を登って越えればもう人里がありますから、もう少しですからね?」
 「はい。」
早く前にある山を越えて人里の灯りが見たくて仕方なかった。傷心は後で感じればいい、今は少しでも安らいでいたい…、聖子はそう思った。


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